ニョイスミレ(読み)にょいすみれ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニョイスミレ」の意味・わかりやすい解説

ニョイスミレ
にょいすみれ / 如意菫
[学] Viola verecunda A.Gray

スミレ科(APG分類:スミレ科)の多年草ツボスミレともいう。地上茎は普通は斜め上に伸びる。葉は腎心(じんしん)形でやや柔らかく、長さ3~4センチメートル、幅4~5センチメートル、托葉(たくよう)には少数の欠刻がある。花柄は茎の上部の腋(えき)から出る。4~6月、径1~2センチメートルの白色または淡紫色の花を開く。下弁の距(きょ)は短く、半球形。アジアの湿った場所に広く分布する。形態の変異に富み、いくつかの変種がある。葉身が半月形になる型があり、そのなかで大きくて茎が立つものを変種アギスミレといい、主として東北地方に分布し、小形で茎が横にはい、節から根が出るものを変種ヒメアギスミレという。さらに小形で葉の幅が普通は約5ミリメートルの変種が屋久島(やくしま)にあり、コケスミレという。

[橋本 保 2020年7月21日]


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世界大百科事典(旧版)内のニョイスミレの言及

【スミレ】より

…スミレに似て,めしべの花柱が膨らみ,カマキリの頭に似たものは,染色体の基本数もスミレなどと同じで,スミレなどと比較的近縁であると考えられる。その中でニョイスミレV.arcuata Bl.(ツボスミレ)は東アジア冷温帯から東南アジアやニューギニアまでの日当りのよい湿った場所に生え,日本ではしばしば雑草となっている。地域的に形態の変異があって,そのいくつかは変種として区別されるが,日本の人家付近に多い型は根茎が短く,茎は斜上または倒伏し,葉身は三角状腎円形で先が鈍く,托葉の縁の切れ込みは浅くまばらである。…

※「ニョイスミレ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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