改訂新版 世界大百科事典 「マツモ」の意味・わかりやすい解説
マツモ
hornwort
Ceratophyllum demersum L.
池や沼などの水中に生育するマツモ科の小型多年生水草で,世界中に広く分布し,茎の先の冬芽で越冬する。キンギョモとも呼ばれる。茎は20~80cmでまばらに分枝し,通常,根を持たない。葉は輪生し,細かく切れこむ。マツモという名前は葉が松葉に似ているところからつけられた。花は単性花で雌雄同株,葉腋(ようえき)から出る。雄花は8~12片の総苞に囲まれた10~20本のおしべをもち,葯は外向きにつく。雌花は総苞内に1本のめしべをもち,中に1個の胚珠をつける。果実は花柱が宿存しており,長楕円形で基部には2本のとげをもつ。4本のとげをもつものもあり,ヨツバリキンギョモと呼ばれる。アクアリウムに金魚,熱帯魚などとともに入れられ,観賞される。
マツモ科はマツモ属だけから成り,淡水性の水草3種が属する。水中の生活に適応し,特殊化した植物であるが,スイレン科に類縁があると考えられている。
執筆者:伊藤 元己
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報