キンギョモ
parrot's-feather
Myriophyllum spicatum L.
細かく切れこんだ葉を輪生状につけるアリノトウグサ科の水草。別名ホザキノフサモ。一般にはマツモ科の水草マツモをキンギョモと呼ぶことが多いが,これは完全な沈水性の水草で根がないので,根があり茎の上部が水面上に出て花序をつけるフサモ類とは,花がなくても区別できる。
多年生の水草で,茎は長さ1mに達する。葉は4枚が輪生し,羽状に細かく裂け,裂片は糸状。花は水上に延出した花序に輪状に多数つき,小型で,花序の下部には雌花が,上部には雄花がある。
北半球に広く分布する。同じように北半球に広く分布するフサモM.verticillatum L.に似るが,これには花序部に小さくなった葉がつく。オオフサモM.brasiliense Camb.は南アメリカ原産だが,暖地に帰化していることがある。いずれの種も,池や水槽で観賞用として栽培される。
執筆者:堀田 満
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キンギョモ
きんぎょも / 金魚藻
金魚鉢に入れる藻の俗称。アリノトウグサ科(APG分類:アリノトウグサ科)のホザキノフサモ、スイレン科(APG分類:ジュンサイ科)のハゴロモモ、マツモ科(APG分類:マツモ科)のマツモを俗にキンギョモと称している。
[編集部 2018年6月19日]
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キンギョモ
ホザキノフサモとも。アリノトウグサ科の多年生の水草。日本全土および北半球の温帯〜暖帯に広く分布し,池や沼などの水中にはえる。茎は長さ1m以上になる。葉は糸状に細く裂け,4枚ずつ輪生する。5〜9月,水面上に花穂をのばし,淡褐色の小花をつける。上部に雄花,下部に雌花が層になって輪生。水槽などに入れて観賞する。マツモもキンギョモと呼ばれるが,こちらはマツモ科の多年生の水草で,全世界に分布する。葉は節に輪生し,数回叉状(さじょう)に裂け,裂片にはとげがある。夏,葉腋に紅色を帯びた花被のない花が咲く。
→関連項目フサモ
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キンギョモ(金魚藻)
キンギョモ
Myriophyllum spicatum; hornwort
アリノトウグサ科の水生多年草。ホザキノフサモともいう。池,川などに生える。細かく羽状に裂けた無柄の葉が各節に4枚ずつ輪生する。5~10月に,3~8cmの穂状花序を水面に出す。花柱の上部に雄花,下部に雌花が4個ずつ集って咲く。なお,このホザキノフサモとは別にマツモ科のマツモ Ceratophyllum demersumをキンギョモと呼ぶ場合も多い。どちらも金魚鉢に入れて眺めるためである。
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世界大百科事典(旧版)内のキンギョモの言及
【マツモ】より
…池や沼などの水中に生育するマツモ科の小型多年生水草で,世界中に広く分布し,茎の先の冬芽で越冬する(イラスト)。キンギョモとも呼ばれる。茎は20~80cmでまばらに分枝し,通常,根を持たない。…
【藻】より
…水中に生えている植物。もともと水生生活をする[藻類]だけでなく,陸上植物から水生に変わったアマモやキンギョモなどの顕花植物,サンショウモやミズニラなどのシダ植物,マリゴケなどのコケ植物も漠然とまとめて呼ぶ。【堀田 満】。…
※「キンギョモ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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