日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヌナクル」の意味・わかりやすい解説
ヌナクル
ぬなくる
Oodgeroo Noonuccal
(1920―1993)
オーストラリア先住民の詩人、作家。クイーンズランド州ブリズベン沖、ストラドブローク島生まれ。先住民諸権利の擁護者で、1988年以来部族名であるウジュルー・ヌナクルを名のる(旧名はキャス・ウォーカーKath Walker)。13歳でダンウィッチ小学校を出、ブリズベンで家事手伝い。その間看護婦を希望するが、先住民ゆえ道は開かれなかった。1961年連邦政府先住民振興協会の仕事に従事、以来生涯、作品と活動両面より、先住民としての誇りと学ぶことの尊さを訴えた。詩『我らは死に絶える』(1964)は、史上最高の売れ行きとなり、すでに7版を重ねた。2作目『夜明けは近い』(1966)はジェシー・リッチフィールド賞受賞(1967)。『マイ・ピープル』(1970)は、同タイトルで3版を重ね、『ストラドブローク島のドリームタイム』(1972)は、少女期の思い出13編、14編の伝説からなる。児童書として『父なる空と母なる大地』(1981)、『小さな仲間』(1986)、先住民の天地創造主虹蛇(にじへび)をテーマに『レインボウ・サーパント』(1988)を出版。1989年グリフィス大学より博士号授与。1970年代よりムーンガルバを拠点とし、白人・黒人ともに、先住民の伝統文化を、体験を通して学び、語る集会をもち、約15年間で国内・外より3万人を超える訪問客をみた。
[古宇田敦子]