日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブリズベン」の意味・わかりやすい解説
ブリズベン
ぶりずべん
Brisbane
オーストラリア東部、クイーンズランド州の州都で、シドニー、メルボルンに次ぐ同国第三の都市。統計局の定義による面積4673.2平方キロメートル、市街地人口162万7535(2001)。クイーンズランド州南東部、モアトン湾に面したブリズベン川の河口付近に位置する。温暖湿潤気候(Cfa)で、同国の大都市としては低緯度(南緯27度26分)にあり、しばしば亜熱帯気候とみなされる。平均気温は最暖月(1月)24.9℃、最寒月(7月)15.0℃、年降水量は1203ミリメートル。市街地は狭義のブリズベン市(人口88万8719。2001)やイプスウィッチ市(人口12万6910。2001推計)など7つの地方自治体にまたがる。市街地の多くが低い丘陵地帯にあることや歴史的に大規模な都市計画を欠いたことにより、同国の他の州都に比べて相対的に街路網が不規則で、坂道や狭い道路が多い。また夏の暑さをしのぐための高床式木造住宅の多いことが特徴である。
州人口に占める州都市街地人口の割合(45%)は他州に比べて高くはないが、州都として政治・経済・文化的機能が集中し、後背地はニュー・サウス・ウェールズ州北東部にも及んでいる。食品、自動車、石油精製など各種工業が集中し、工業の雇用および生産額はともに州の約6割を占める。国際空港があり、内外の主要都市と結ばれ、1981年に東京直行便も開設された。ゴールド・コーストなどの海浜リゾートが近く、観光基地となっている。クイーンズランド大学(1909創立)、グリフィス大学(1975創立)がある。シティとよばれる都心部はブリズベン川北岸にあり、官庁、公共施設、企業が集中する。この都心から河口までの川の両岸が港湾で、州の輸出額の約3割、輸入額の8割余りを扱う。都心の西南西にあるイプスウィッチには炭田や鉄道工場がある。1824年流刑入植地として開基、42年自由入植地となり、1902年市制施行。名称は植民地総督名に由来する。
[谷内 達]