日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネッタイミノカサゴ」の意味・わかりやすい解説
ネッタイミノカサゴ
ねったいみのかさご / 熱帯蓑笠子
broadbared lionfish
[学] Pterois antennata
硬骨魚綱カサゴ目フサカサゴ科に属する海水魚。伊豆半島以南、小笠原諸島、インドネシア、ケルマデック諸島、マルケサス諸島に至る太平洋、南アフリカに至るインド洋に広く分布する。ミノカサゴやハナミノカサゴに似るが、背びれ棘(きょく)は12本であること、胸びれの軟条は先端から中ほどまでに鰭膜(きまく)がなく遊離していることなどで区別できる。また、近縁種のキミオコゼとは胸びれに多くの黒斑(こくはん)があること、吻端(ふんたん)に3本の皮弁があることなどで異なる。水深80メートルほどまでのサンゴ礁の外側の斜面や礁湖の割れ目や穴の中にすみ、夜にはサンゴ礁の表面近くに出て、エビ類、カニ類などを食べる。体長は20センチメートルほどになる。
ひれの棘(とげ)に強い毒があり、刺されると危険である。一般には食料として利用はしないが、優美な泳ぐ姿はダイバーに人気がある。水族館で飼育展示されることが多い。
[尼岡邦夫]