ネピアグラス(その他表記)napier grass
Pennisetum purpureum Schumach.

改訂新版 世界大百科事典 「ネピアグラス」の意味・わかりやすい解説

ネピアグラス
napier grass
Pennisetum purpureum Schumach.

家畜飼料とするために暖地で栽培されるイネ科の多年草。エレファントグラスelephant grassともいう。熱帯アフリカ原産で,20世紀初めに作物化され,日本には昭和初期に導入された。草丈は2~5m,茎の太さ2~3cmとなる。匍匐(ほふく)性の茎を多数分げつし,直径1m,茎数100を超す壮大な株状になる。葉は細長く,大きなものでは長さ1mを超し,幅も3cmほどになる。秋に茎頂から穂を出す。穂は円筒状で10~30cm,1cmほどの剛毛がある。おもに青刈飼料またはサイレージとするために栽培される。四国,九州,沖縄などの暖地に適し,関東以北では,草丈2~4mまでに生育できるが,冬を越せない。繁殖は3~4節ずつに切った茎を挿すか,株分けによる。夏から秋にかけて数回刈り取り,1年の青刈収量は1haあたりで100~150tである。一度植え付ければ5~6年は収穫できる。飼料としての利用のほか,土壌浸食防止や防風のために植え付け,また,稈(かん)で屋根をふいたり,囲いをつくったりする。またネピアグラス(染色体数2n=28)と近縁P.typhoides(2n=14)の雑種不稔であるが生育がよく,飼料に適しているという。
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