改訂新版 世界大百科事典 「チカラシバ」の意味・わかりやすい解説
チカラシバ
Pennisetum alopecuroides(L.)Spreng.
日当りのよい草原や畑の縁,道端などに大きな株を作っているイネ科の多年草。根が非常に強くて,なかなか引き抜けないので力芝の和名がある。葉は根生で,多数密生し,長い線形で,長さ30~60cm,幅は5~8mm,濃い緑色である。茎は葉の間に多数見え,細いが硬く,枝分れせず,長さ40~80cm,夏から秋にかけて,その頂に1個の尾状の花序を出す。花序は立ち,見かけ上は穂状で,長さ10~15cm,直径1.5~2cmあり,枝が退化した多数の芒(のぎ)状の刺毛がある。刺毛は普通紫褐色であるがときに緑白色(これをアオチカラシバとよぶ)のこともあり,長さ7mmくらいの小穂を包む。日本全土から中国,東南アジアに分布している。
チカラシバ属Pennisetumは世界に80種ほどあり,大半はアフリカ産である。熱帯アフリカのネピアグラスや同じくアフリカ産のトウジンビエは,どちらもトウモロコシを思わせる大型の植物で,牧草として栽培もされるが,後者はインドやアフリカでは雑穀として重要な作物の一つになっている。
執筆者:小山 鉄夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報