チカラシバ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チカラシバ」の意味・わかりやすい解説

チカラシバ(力芝)
チカラシバ
Pennisetum alopecurioides

イネ科の多年草。アジア南東部の亜熱帯から温帯にかけて広く分布し,日当りのよい原野や路傍雑草として普通にみられる。茎は円柱形で多数が斜上して叢生し,分枝せず,高さ 30~80cmになる。葉は根生し細長い線形で長さ 60cmに達し,基部は葉鞘となり茎を包む。根生葉の基部は紫色を帯びる。夏から秋にかけて,茎の頂部に 15cmほどの円柱形の花穂をつける。各小穂は1個の花から成り,無花被でおしべ3本,めしべ1本。総包は褐色で,紫褐色の不同長の剛毛を生じる。この毛の色が淡色のものをアオチカラシバ P. alopecurioides form. viridescensという。和名は,密に叢生して大きな株は土に強く根を張り,なかなか引抜けないことにより,別名ミチシバは路傍に多く生えることによる。ただしミチシバの名は別のイネ科植物にも使われる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チカラシバ」の意味・わかりやすい解説

チカラシバ
ちからしば / 力芝
[学] Pennisetum alopecuroides (L.) Spreng.

イネ科(APG分類:イネ科)の多年草。根茎は発達して強く、稈(かん)は株立ちし、高さ30~80センチメートル。葉は線形で、幅7~8ミリメートル。8~11月、稈頂に暗紫色で円柱状の円錐(えんすい)花序をつける。小穂は長さ約7ミリメートル、小花が2個ある。不稔(ふねん)性の花序の分枝は基部で癒合し、長さ2~3ミリメートルの小穂柄に移行して数個の小穂を包み、成熟すると小穂とともに花穂の主軸から脱落する。道端草原に普通に生え、北海道から沖縄、および中国、マレーシアポリネシアに分布する。チカラシバの名は、大きな株となって根が強く張り、引き抜くのに力を要することによる。暖地の海岸の岩地に生え、葉幅が1ミリメートルしかないのは別種シマチカラシバとして区別する。

[許 建 昌 2019年8月20日]


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