改訂新版 世界大百科事典 「ネーデルラント銀行」の意味・わかりやすい解説
ネーデルラント銀行 (ネーデルラントぎんこう)
Nederlandsche Bank
オランダの中央銀行。1814年設立。1948年に国有化され,総裁,理事,事務局長は政府が任命する。また12名の審議委員会が主要な事項の決定や審査に当たっている。オランダがナポレオンの支配から独立を回復した直後,オランダ経済再建と近代化政策の柱として,新国王ウィレム1世の強いイニシアティブにより,資本金500万グルデンの株式会社形態の発券・割引業務を担う銀行として設立された。しかし,当時オランダ経済は不振を極め,またこのような商業信用への需要も少なかったため,株式への応募も低調で国がその2割を引き受け,また国王も個人の資格で大口出資者となった。同行は1863年の銀行法で,一般の株式会社に改組されるとともに発券の独占を認められ,その業務を監督する政府の監理委員が任命された。1936年の金本位制停止以来,本銀行券が事実上唯一の法貨となった。
執筆者:石坂 昭雄
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