ね文字（読み）ネモジ

デジタル大辞泉

ね‐もじ【ね文字】

《「ね」で始まる語の後半を略して「文字」を添えたもの》
１ 「練貫ねりぬき」の女房詞。
２ 「練り絹」の女房詞。
３ 「葱ねぎ」の女房詞。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ね‐もじ【ね文字】

1. 〘 名詞 〙
2. [ 一 ] 「ね」の音を表わす文字。「ね」という文字。
   1. [初出の実例]「かた仮名のねもじを十二書かせて、給て、よめとおほせられければ、ねこの子のこねこ、ししの子のこじしとよみたりければ、御門ほほゑませ給て、ことなくてやみにけり」(出典：宇治拾遺物語（1221頃）三)
3. [ 二 ] 「ね」で始まることばの後半を略し、「文字」を添えた、女房詞。
   1. (イ) 練貫(ねりぬき)をいう。
      1. [初出の実例]「縫箔・織筋・ねもじなどは、すずし裏に苦しからず候」(出典：娵入記（1443‐73頃）)
   2. (ロ) 練絹(ねりぎぬ)をいう。
   3. (ハ) 葱(ねぎ)をいう。
   4. (ニ) ね文字箸(もじばし)をいう。
   5. (ホ) 香木の名。あるいは茶園・茶の名か。
      1. [初出の実例]「六月、名越、清水両所、一二三、禰文字、五文字」(出典：新札往来（1367）上)
   6. (ヘ) ( 日本髪の根に足すところから ) 髢(かもじ)。〔女中言葉（1712）〕

出典　精選版 日本国語大辞典