改訂新版 世界大百科事典 「ハイイロリス」の意味・わかりやすい解説
ハイイロリス (灰色栗鼠)
gray squirrel
Sciurus carolinensis
カナダ,アメリカ東部,イギリスなどでもっともふつうに見られるやや大型の樹上生のリス。齧歯(げつし)目リス科の哺乳類。トウブハイイロリスともいう。原産地は北アメリカで,イギリスのものは人為的に移入され,野生化したもの。他に,南アフリカ,ニュージーランドなどでも野生化している。名のように灰色の体に,ふさふさした長毛を豊かに生やした長い尾をもつ。夏毛では体側と四肢が栗色。体長23~30cm,尾長20~24cm,体重350~700g。広葉樹林のほか,大都市の公園をはじめ人家付近にも多く,昼行性のためもあって,人目によくふれるなじみの深い動物となっている。尾で体のバランスを巧みに取りながら,枝から枝へと樹上を渡り歩くほか,地上にもしばしば降りる。食物は,どんぐり,クルミなどの木の実,葉,芽,キノコなど,おもに植物質である。秋には木の実を集め,地中や木の洞に大量に蓄える。小枝や樹皮を集めて,木の上に巣をつくり,雌は年にふつう2回,春と秋に1産1~7子,平均3子を生む。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報