日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハイダ」の意味・わかりやすい解説
ハイダ
はいだ
Haida
北アメリカ北西海岸の先住民集団(アメリカ・インディアン)の一つ。カナダのクイーン・シャーロット諸島とアラスカのプリンス・オブ・ウェールズ島南部に住む。定住村落をつくり、漁労、狩猟、採集生活を送り、サケ、オヒョウ、タラは重要な食料である。カラスとワシの二つの集団(半族)に分かれ、両集団はそれぞれいくつかの母系血縁集団からなる。しかし、半族は外婚単位とならず、カラスとワシの間の通婚は禁止されている。母系血縁集団はいくつかの家族からなり、通常、集落を構成し、特定のトーテムをもち、首長がいる。ハイダは木工芸に巧みで、とくに、カヌー作りとみごとなトーテムポールは有名である。また、政治的、社会的威信を高めるための競争的な儀礼的贈答ポトラッチを行うことでも知られている。ハイダ語はアサバスカ語に属する。同じ北アメリカの先住民トリンギトやチムシアンと文化的に親縁関係にある。
[板橋作美]