トーテムポール(読み)とーてむぽーる(英語表記)totem pole

翻訳|totem pole

デジタル大辞泉 「トーテムポール」の意味・読み・例文・類語

トーテム‐ポール(totem pole)

北アメリカ北西海岸に住むインディアン諸族が、そのトーテムである動物・鳥などを彫刻した柱。独立柱・家柱・墓柱などとして立てられる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「トーテムポール」の意味・読み・例文・類語

トーテム‐ポール

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] totem pole ) トーテムを表わす形や記号などを描いたり彫ったりした標柱北米のインディアンが家や集会所の前に門柱のように立てる。トーテム‐ポスト。
    1. [初出の実例]「電柱でさへもが聖な精霊柱(トオテムポオル)に見えてくる」(出典メサ使徒(1950)〈武田泰淳〉)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トーテムポール」の意味・わかりやすい解説

トーテムポール
とーてむぽーる
totem pole

北アメリカ北西海岸の先住民トリンギト、クワキウトルハイダ、チムシアンなどでつくられる特異な彫刻柱。さまざまな動物、品物が彫刻されるが、使用できるモチーフは半族、クラン氏族)、リネージ(系族)などによって決まっており、それらのモチーフはそれを所有する集団の出自や名称の由来を説明する神話伝承を伴っている。したがってトーテムポールは、その所有者、集団の出自、社会的・宗教的な諸権利と義務を表しており、この地域の社会構造のあり方と密接な関係があり、また重要な社会的機能を果たしている。トーテムポールには独立柱、家柱、墓柱、入口柱などがあるが、狭義には独立柱と墓柱のみをさす。古くから墓柱と家柱、ハイダの社会には入口柱に彫刻を施す慣習があったが、現在知られているような大トーテムポールの歴史は新しく、19世紀中ごろから20世紀初頭に、社会的、経済的その他の理由で、大流行したものと考えられている。

[板橋作美]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「トーテムポール」の意味・わかりやすい解説

トーテム・ポール

トーテムをかたどる彫刻柱。北米北西沿岸のアメリカ・インディアンにみられるものをヨーロッパ人がこう呼んだ。その集団の紋章や飾章にあたり,アイデンティティや神話,出自などを象徴的に表すものと考えられる。家屋の門柱,墓柱などのほか独立したものもある。→トーテミズム
→関連項目クイーン・シャーロット[諸島]スカン・グアイ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トーテムポール」の意味・わかりやすい解説

トーテムポール
totem pole

トーテムの姿を図案化したものを彫刻したり,描いた柱。北アメリカインディアン,特に北西海岸のクワキウトル族ハイダ族チムシアン族などの間にみられる。たとえばハイダ族では,家の前に高さ 30m前後もある柱を立て,それに荘厳で精巧なトーテムの図案を刻み込む。この図案は柱ばかりでなく,戸や衣服,あるいはトーテム集団に属する種々のものに描かれ,身体の入墨の図案にも使われている。こうした行為は,トーテムの姿をした祖先に集団や家族を守ってもらうためであり,集団の帰属関係を表わしたり,標章としての役割を果したりしていると考えられる。オーストラリア中央部の先住民のチュリンガも,一種のトーテムポールといえる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のトーテムポールの言及

【トーテミズム】より

…その特定の自然種がトーテムtotemであるが,この語はアメリカ・インディアンのオジブワ族の言葉に由来する。はじめはトーテムの像として〈トーテム・ポールtotem pole〉を作るアメリカ・インディアン諸族に固有の習俗と思われていたが,トーテミズムという用語が生まれるとともに,オーストラリアやメラネシア,ポリネシア,インド,アフリカなど各地の事例が報告されるにつれ,19世紀後半から多くの研究者の関心を集めるようになった。とりわけ当時,最も原初的な文化をもつと考えられていたオーストラリア諸社会に豊富な事例が見いだされたこともあり,トーテミズムは人類史における宗教現象の起源の問題として論じられた。…

※「トーテムポール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android