トーテムポール(読み)とーてむぽーる(英語表記)totem pole

翻訳|totem pole

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トーテムポール」の意味・わかりやすい解説

トーテムポール
とーてむぽーる
totem pole

北アメリカ北西海岸の先住民トリンギト、クワキウトル、ハイダ、チムシアンなどでつくられる特異な彫刻柱。さまざまな動物、品物が彫刻されるが、使用できるモチーフは半族、クラン氏族)、リネージ(系族)などによって決まっており、それらのモチーフはそれを所有する集団出自や名称の由来を説明する神話伝承を伴っている。したがってトーテムポールは、その所有者、集団の出自、社会的・宗教的な諸権利と義務を表しており、この地域の社会構造のあり方と密接な関係があり、また重要な社会的機能を果たしている。トーテムポールには独立柱、家柱、墓柱、入口柱などがあるが、狭義には独立柱と墓柱のみをさす。古くから墓柱と家柱、ハイダの社会には入口柱に彫刻を施す慣習があったが、現在知られているような大トーテムポールの歴史は新しく、19世紀中ごろから20世紀初頭に、社会的、経済的その他の理由で、大流行したものと考えられている。

[板橋作美]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トーテムポール」の意味・わかりやすい解説

トーテムポール
totem pole

トーテムの姿を図案化したものを彫刻したり,描いた柱。北アメリカインディアン,特に北西海岸のクワキウトル族ハイダ族チムシアン族などの間にみられる。たとえばハイダ族では,家の前に高さ 30m前後もある柱を立て,それに荘厳で精巧なトーテムの図案を刻み込む。この図案は柱ばかりでなく,戸や衣服,あるいはトーテム集団に属する種々のものに描かれ,身体の入墨の図案にも使われている。こうした行為は,トーテムの姿をした祖先に集団や家族を守ってもらうためであり,集団の帰属関係を表わしたり,標章としての役割を果したりしていると考えられる。オーストラリア中央部の先住民のチュリンガも,一種のトーテムポールといえる。

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