デジタル大辞泉 「たら」の意味・読み・例文・類語
たら[係助・終助]
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1 話題として、人や物事を取り上げ、予想外であるという意や蔑視する意を表す。「彼っ
2 ある状態・性質を取り上げ、それが普通の程度を超えていることを表す。「つまらないっ
3 強調の意を表す。「行くっ
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1 じれったいという気持ちを込めて相手に促す意を表す。「ねえ、おとうさん
2 驚き・いらだちなどの気持ちを表す。「まあ、あなたっ
たら[終助]
たら[副助]
「大見屋の
翻訳|codfish
硬骨魚綱タラ目タラ科に属する魚類の総称。世界で16属約31種が知られている。おもに北半球の極付近から温帯域に分布し、大西洋でもっとも多様性に富んでいる。体のサイズは、最小ではシルバリーパラトGadiculus argenteusの約15センチメートル、最大ではタイセイヨウマダラGadus morhuaの2メートルを超えるものまでさまざまである。大部分のタラ科魚類は典型的な海水魚であるが、一部の種が低塩分濃度に対して抵抗性を有し、コマイなどは汽水域でも生息できる。そしてカワメンタイLota lotaが唯一の淡水種である。タラ科の魚は一般に体がやや延長し、前半部は太く、後方に向かって細くなる。腹びれは胸位で、胸びれ基底より前方に位置する。各ひれを支える鰭条(きじょう)はすべて軟条で棘条(きょくじょう)はない。鱗(うろこ)は円鱗(えんりん)で小さく、うきぶくろと食道をつなぐ気道がないなどの特徴をもつ。本科の魚はタラ亜科Gadinae(コッドcod、ハドックhaddock)とカワメンタイ亜科Lotinae(リングling、バルボットburbot)に大別される(3亜科または4亜科に分ける研究者もいる)。前者では背びれが3基、臀(しり)びれが2基で、尾びれの後縁がまっすぐか、またはわずかに二叉(にさ)し、卵に油球がないのに対し、後者では背びれは1基または2基、臀びれは1基で、尾びれの後縁は丸く、卵に油球がある。日本産のタラ類はマダラ、スケトウダラ、コマイの3種だけで、いずれもタラ亜科に属する。淡水産のカワメンタイの分布はきわめて広く、ヨーロッパからシベリアの大部分、朝鮮半島および樺太(からふと)(サハリン)に分布するL. l. lota、北アメリカ東部に分布するL. l. maculosaおよびアラスカからカナダに分布するL. l. lepturaの3亜種が知られている。
[岡村 收・尼岡邦夫 2016年6月20日]
世界的にみてタラ漁業は、ニシン、イワシ漁業に次いで漁獲量が多く、重要食糧資源として位置づけられてきた。国連食糧農業機関(FAO)の資料によると、漁獲量は1970年~1980年代は1000万~1200万トン台(魚類総漁獲量の14~18%)で推移していたが、1990年~1999年は900万~1000万トン台(魚類総漁獲量の6~11%)に減少し、2000年~2008年では700万~900万トンと減少傾向にある。過剰な漁獲が原因であると考えられている。2006年~2012年のおもなタラの漁獲量は多少の年変動があるが、太平洋産マダラGadus macrocephalusが32万~47万トン、大西洋産マダラ類G. morhuaが77万~111万トン、スケトウダラでは250万~327万トン、ポラックPollachius virensが34万~50万トン、ヘイク類(Merluccius hubbsiとM. productus)は98万~110万トン、ハドックMelanogrammus aeglefinusが32万~43万トンである。
一方、日本のタラ漁業は北洋漁場への進出に伴って急速に発展し、農林水産省の資料によると、1960年代初期の40万トンから1970年代前半に300万トン余りへと急増した。しかし、世界各国が自国水域内の海洋資源への権利を主張する200海里時代に入るとともに、北太平洋周辺諸国(ソ連、カナダ、アメリカ)との漁獲量に関する協議が必要となり、漁獲量は1978年~1980年代前半には152万~170万トンに激減した。その後も1990年代後半には約37万トン、2012年には約28万トンと減少している。魚種別内訳はスケトウダラ約23万トン、マダラ約5万トンである。スケトウダラとマダラは北洋ではトロール、沿岸では中型底引網、延縄(はえなわ)などで漁獲され、とくにベーリング海域での母船式底引網漁業はもっとも規模が大きく、船上で冷凍魚や冷凍すり身に加工される。コマイは秋季には沿岸底引網で漁獲されるが、冬季には氷に穴をあけ、手釣りや定置網でとる。総菜や丸干しにされ、コマイ干しの風景は北海道東部の風物詩として有名である。
[岡村 收・尼岡邦夫 2016年6月20日]
北大西洋北部、とくにアイスランド周辺は世界有数のタラ漁場であり、イギリスをはじめとする周辺諸国は、この海域に水産資源の多くを依存してきた。しかし、19世紀に本格的漁業が開始されると乱獲の兆しがしだいに強まり、当初は90キログラムのマダラが記録されたが、現在では18キログラムもあれば大きいほうで、漁獲統計上の平均値は約4.5キログラムまで低落している。したがって、資源保護を目ざしたアイスランド政府は、1958年に4海里から12海里への領海拡張宣言を行い、既得権を主張するイギリスとの間に激しい争いを引き起こした。
国際司法裁判の結果はアイスランドの勝訴となったが、その後もタラ資源の減少が続いたため、1972年にアイスランド政府は漁業専管水域50海里を一方的に宣言した。これを無視したイギリスなどの諸国は、50海里内に侵入して操業を強行したため、ついに1973年5月アイスランド砲艦がイギリス漁船に発砲するという国際事件へと発展した。これに対してイギリスも自国の漁船団を保護するという名目で軍艦を派遣し、水産資源をめぐる戦争直前の事態となった。さらに1975年2月、アイスランドが漁業専管水域を200海里に拡大したことで、再度両国間で武力衝突が起こった。同年6月、イギリスの漁獲量を制限するという条件に両国が合意したことにより、ようやくこの争いが終結した。この一連の紛争を「タラ戦争」という。現在では平静な状態を保っている。
[岡村 收・尼岡邦夫 2016年6月20日]
日本近海には一般にタラとよばれる大形のマダラ、やや小形のスケトウダラ、アラスカ、北海道に多いコマイがいる。身には脂肪がたいへん少なく、白身で淡泊な味である。ヨーロッパなど外国でもよく利用される魚である。くせがないので、そぼろ、ちり鍋(なべ)、潮汁(うしおじる)、煮つけ、ムニエル、フライなど広範囲に使える。北日本には特有のタラの郷土料理があり、おもなものにタラ白子(しらこ)の数の子和(あ)え(北海道)、タラのルイベ(北海道)、タラのどんがら汁(山形)、タラのじゃっぱ汁(青森)、タラの子漬け(新潟)、棒だら煮(新潟)、いも棒(京都)などがある。
乾燥品に棒だら、干だら、すき身だらなどがある。これらの多くはスケトウダラが原料として使われる。またスケトウダラは大量漁獲魚であり、すり身として各種の練り製品の原料にされる。たらこはスケトウダラの卵巣の塩漬けで、紅葉子(もみじこ)、めんたい子(みんたい子)ともよばれる。
[河野友美・大滝 緑]
秋田県にかほ市の金浦山(このうらやま)神社では、2月4日の「掛魚(かけよ)まつり(たらまつり)」に、初漁のなかから選んだ最大のタラを笛や太鼓ではやしながら神前に供える。『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』には、タラの名は、初雪のあとにとれるため、魚偏に雪を配すとあり、とくに「寒鱈(かんだら)」といって冬季に珍重された。「鱈腹(たらふく)食べる」というのは、タラの貪食(どんしょく)性に由来する。また、早く成魚になって生命力が強いこの魚は、切ってもあまり血が出ないことから、武家で縁起のよい魚とされた。
[矢野憲一]
タラ目タラ科Gadidaeの海産魚の総称。また,単にマダラを指す場合もある。日本近海にはマダラ,コマイ,スケトウダラの3種があり,いずれも北方の寒流系の魚。背びれは3基,しりびれは2基,腹びれは胸の位置で,胸びれより前方にある。各ひれの鰭条(きじよう)はすべて軟条で,棘条(きよくじよう)がない。うろこは円鱗(えんりん)。うきぶくろの前端両側に角状突起がある。気管はない。
マダラGadus macrocephalusは日本海側では山陰以北,朝鮮半島,沿海州にわたり,また太平洋側では茨城県以北,東北,北海道からオホーツク海,ベーリング海を経てアメリカのオレゴン州近海にまで広く分布している。頭部が大きく,上あごは下あごより突出し,下あごにはひげがある。体の背側から側面にかけて不規則な褐色の斑紋があり,腹面は白い。背びれ,しりびれ,尾びれの辺縁部は白い。全長は大きいものでは1m以上に達する。底生性で,スケトウダラのような広範囲の回遊をすることはなく,狭い範囲で移動するだけである。魚,イカ,エビ,その他底生生物を餌とし,すこぶる貪食(どんしよく)で,〈たら腹食う〉ということばも,この魚の腹部が大きく膨らんでいるところから出たたとえである。産卵期は冬で,岸寄りの浅海底に移動して粘着性の卵を産む。産卵数は親魚の大きさによっても異なるが,数百万粒に及ぶ。底引網やはえなわで漁獲されるが,浅海に寄せる産卵群には刺網も用いられる。
しゅんは冬季で,鮮魚は煮つけ,ちりなべなどとして賞味され,塩干魚としての利用も多い。昔は食用のほかにもタラの用途は広かった。例えば,皮膚やうきぶくろはコラーゲンを多量に含むので,前者はにかわの原料とされ,後者はアイシングラスと呼ばれる上質のゼラチン原料とされ,ブドウ酒の清澄剤としても用いられた。また,肝臓からは肝油をとり,ビタミンAおよびDの補給源とされた。
日本の年間漁獲量のうち,タラ類はかつては他の魚種をはるかに引き離して第1位を占めていたが,1973年の313万tを最高にしてその後は年ごとに減少し,78年以後はマイワシに首位を譲り第2位となった。種類は異なるが,タラ類は北大西洋から北極海にかけて多産し,世界の総漁獲量でもニシン,イワシ類に次いで第2位を占めている。最高の漁獲をあげた1976年には1213万tに達したが,これは魚類総漁獲量の19%にあたる数字であった。
北大西洋は魚類資源が豊富であるため,古くから各国の漁船が集まって漁を競っている。漁業に依存するところの大きいアイスランドは,他国の船団による近海資源の濫獲に対する自衛策として,1958年自国の領海を4カイリから12カイリに拡張して,イギリスとの間で紛争を起こした。その後も事態はいっこうに改善されず,タラその他の資源の減少が相変わらず著しいため,領海をさらに50カイリまで拡張することを一方的に宣言した。しかし,イギリスその他の漁船はこれを無視して出漁を続けたので,73年アイスランド海軍はついにイギリスの漁船に砲撃を加え,これに対してイギリスも自国漁船の保護のため軍艦を派遣するに至った。幸いにも開戦の危機はかろうじて避けられたが,その後も両国の深刻な対立関係は続いている。これがいわゆる〈タラ戦争〉であるが,このような事件の経過もタラ資源が国際的に大きな関心が寄せられていることを物語っている。
執筆者:日比谷 京
タラの名は《延喜式》にも《和名抄》にも見られず,室町時代になってやっと文献に現れるようになる。鱈というのは,雪が降る季節になってとれる魚という意味の和製漢字で,雪魚と書くこともあり,女房言葉の〈ゆき〉というのもそれによるものである。いまは生ダラや塩ダラが切身として出回り,ほかに塩干品の干(ひ)ダラや素干しの棒ダラがあるが,とうぜんながら,昔は産地以外で生ダラを入手することはできなかった。《本朝食鑑》が一塩(ひとしお)のものを最上としたゆえんである。たらこと呼ぶ塩蔵品はスケトウダラの卵巣で,マダラのそれはふつう生たらこといい,煮つけにする。白子,つまり,精巣はわん種や煮つけにするが,これは古くから〈雲腸(くもわた)〉と呼ばれて珍重された。塩干品の干ダラは手ごろの大きさに切って何枚か重ね,柿(こけら)板に見たてて〈屋根板〉という蔑称,ないしは卑称も行われたが,室町期には貴人饗応の献立に名を連ねている。棒ダラの料理では〈芋棒(いもぼう)〉が名高い。かちかちに干し上げられた棒ダラを時間をかけてもどし,エビイモとたき合わせた京都の名物料理である。
執筆者:鈴木 晋一
アイルランド,ミーズ県にある遺跡。眺望の開けた丘(標高154m)にあり,土塁や塚などが残っていて,〈諸王の砦〉〈玉座〉などと名づけられている。ほとんどが前500年以降のものとされているが,〈人質の塚〉と呼ばれるものは前2000年という測定値が出ている。これらの土塁や塚が何のために利用されたのかは明らかではないが,ここは古代アイルランドの宗教・文化の中心で,3年ごとに全氏族の集会がもたれ,法の制定,氏族間の争いの調停などが行われた。古代五王国の族長から選ばれた上王がここに君臨し,6世紀には最も権勢を振るったが,キリスト教が広まるにつれてタラの重要性は衰えていった。タラはアイルランド人にとって,まだイギリス文化の影響をうけない時代の,アイルランド文化の象徴であり,国民詩人T.ムーアの詩にもうたわれている。
執筆者:上野 格
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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[同義異語]風袋(ふうたい)
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
「マダラ」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…これに肉やレンズマメなどと多様な香辛料を加えてつくったワットとよばれるカレー状の副食をつけて食べる。また,ゲショ(クロウメモドキ科)をホップのように加えてつくるビール(タラ)や蜂蜜ワイン(タジ)といった伝統的なアルコール飲料も発達している。家畜として牛,馬,羊,ヤギ,ロバを利用し,穀物はテフをはじめ,大麦,小麦,トウモロコシなどを栽培している。…
※「たら」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」