バイオフィードバック・トレーニング(読み)ばいおふぃーどばっくとれーにんぐ(その他表記)bio‐feedback training

知恵蔵 の解説

バイオフィードバック・トレーニング

メンタル・トレーニングにおけるリラクセーション技法の1つ。選手のリラックス状態を生理学的方法で客観的に把握しながら、自律神経系の支配下にある生理過程を、意識的にコントロールできるようにすること。試合前の過度の緊張で心拍数が増大し、胃痛を覚えたり筋肉が緊張したりする「こころ」の状態を、種々の生理学的指標(脳波筋電位呼吸心拍皮膚温血圧、血流量、皮膚電気抵抗など)で測定。皮膚電気抵抗=GSR(galvanic skin response)の応用例を示すと、心的緊張や不安などの情緒活動には、交感神経の作用で皮膚の電気的変動が起こることを利用。左手中指と人さし指に金属プレートを装着し、皮膚の電気抵抗の変動を音に変換し、選手はその音をイヤホンで聞く。リラックスが深まると音は低音化し、完全に聞こえなくなる。その過程で、指先から手首、肘、肩にかけて温感を覚えるようになる。これは、緊張がとれて血流量が上昇することによる。

(鈴木正成 早稲田大学スポーツ科学学術院特任教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

バイオフィードバック・トレーニング
biofeedback training

トレーニングを実践する者が,トレーニングの目標と関係深い自らの生体の情報をモニタし,その生体情報を指標としながら行なうトレーニング方法。たとえば,あるスポーツの技術を習得しようとするとき,研究成果から使ってはいけない筋肉と積極的に使わなければならない筋肉がわかっている場合がある。しかし,このような筋肉の使い方はコーチから説明を受けるぐらいでは感覚的に理解しにくいし,習得が困難である。そこで近年,装置を使ってトレーニング中の筋肉の活動状態を測定し,その情報をすぐその場で選手に知らせる方法がとられている。その結果,選手は使うべき筋肉が使われているか,あるいは使ってはならない筋肉が使われていないか,常に客観的にチェックしながらトレーニングを進めることができるようになった。このほかにも精神的緊張コントロールのトレーニング指標として心拍数や発汗などが,また心理的トレーニングの指標として脳波などがよく用いられている。

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