出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…汗は古くは皮膚にある無数の小孔から体液がしみ出すものと考えられてきたが,1833年にJ.E.プルキンエらによって特殊な分泌腺(汗腺)が皮膚に存在することが明らかとされて以来,科学的研究の対象となったが,その後の研究の進歩は遅々たるものであった。1920年ころになって,久野寧がモンゴル地方に自生するマオウの発汗作用の研究をきっかけとして,系統的に広範な研究を重ねた結果,発汗機能について多くの基本的事実が見いだされ,発汗生理学が初めて学問的に体系づけられるに至った。
[汗腺と発汗]
汗腺は小さな管状腺で,その分泌部は深層の真皮層内にあり,そこで作られた汗(原汗という)は導管を通って皮膚表面に運ばれ蒸発する。…
…呼吸も心臓の働きと同様に運動しようという心構えだけで変化するが,これも大脳皮質が延髄の呼吸中枢に対し神経性の影響を及ぼすためと考えられる。(3)体温と発汗 運動に伴って筋肉に熱が発生するので,体温が上昇する。すると反射的に末梢の皮膚血管が拡張して皮膚からの放熱が盛んになり,また同時に皮膚汗腺が活動して発汗を生じ,蒸発熱によって熱放散が盛んになって体温の上昇が防がれる。…
…皮膚は水をいくらか透過させるから,常時皮膚面から水分が蒸発している。これを不感蒸散というが,不感蒸散は,呼吸気道からの水分蒸発も含めて,発汗のない状態で熱放散の約1/4を占めている。環境温が皮膚温より高くなると対流・放射によって逆に体が加温される。…
…それは,夏も過ぎ涼風も立つというころに,夏の疲れが一時に現れて,体の調子に狂いが生ずる夏ばてである。
[真夏の夏ばて]
夏の暑さには,じりじり焼けつけるような暑さと蒸し蒸しする暑さの二つがあるが,いずれにしても高温にさらされると皮膚血管は拡張して,体からの熱の放散が行われ,やがて発汗が始まる。気温30℃前後では,じっとしていても汗がにじんでくるようになる。…
※「発汗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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