日本大百科全書(ニッポニカ) 「バセドウ」の意味・わかりやすい解説
バセドウ
ばせどう
Carl Adolf von Basedow
(1799―1854)
ドイツの開業医。甲状腺腫(こうじょうせんしゅ)に名を冠している。ハレ大学を卒業し、パリに遊学ののち、1822年メルゼブルクに開業した。1840年に眼球突出を伴う甲状腺腫について報告、本症の心悸亢進(しんきこうしん)、甲状腺腫、眼球突出をメルゼブルクの三主徴とした。1848年本症を剖検して、悪液質(カヘキシー)を認めた。彼の発表より前に、1802年にイタリアのフラヤーニGiuseppe Flajani(1741―1808)、1825年にイギリスのパリーCaleb Hiller Parry(1755―1822)、1835年にダブリンのグレブズRobert J. Graves(1797―1853)らが本症を報告している。グレブズの出身地アイルランドをはじめ、主として英語系の国では本症をグレブズ病とよび、ドイツ、フランス、イタリア、日本などでは、バセドウ病とよぶことが多い。
[古川 明]