悪液質(読み)あくえきしつ(英語表記)cachexia

翻訳|cachexia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

悪液質
あくえきしつ
cachexia

重い病気末期症状の一つとして現れる,全身衰弱した病的状態。ギリシア医学でいう体液学説に基づく用語であるが,現代医療ではあまり用いられない概念重症結核糖尿病血液疾患などの消耗性疾患でも起るが,現代ではの末期の状態をいうことが多い。全身の衰弱とともに,食欲不振からくる痩せ,貧血などのため皮膚は乾燥して弛緩し,顔色は黄灰色になり,目やがくぼんで独特の顔つきになる。

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百科事典マイペディアの解説

悪液質【あくえきしつ】

癌をはじめ結核,梅毒,糖尿病,内分泌疾患,血液疾患などの慢性疾患において,全身症状のきわめて悪化したもの。患者は全身が衰弱しやせ細り,貧血などにより皮膚は乾燥弛緩(しかん)して特有の黄灰色を呈し,まぶたや足にむくみを伴う。
→関連項目肉腫バンチ病

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大辞林 第三版の解説

あくえきしつ【悪液質】

主として悪性腫瘍しゆようで、病気の進んだときに現れる著しい衰弱状態。全身が痩せ、まぶたや足はむくみ、皮膚は貧血によって灰黄色を呈する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

悪液質
あくえきしつ

腫瘍(しゅよう)のうち、とくに悪性腫瘍とよばれるものは、発生した臓器ばかりでなく、個体全体に対しても大きな影響を与えることが特徴とされている。体力が衰え、皮膚の色つやが悪くなり、食欲も減退して、慢性の栄養不足の状態となり、貧血や浮腫を引き起こしてくる。このような状態を悪液質(カヘキシーcachexia)または悪態症という。悪液質をおこす原因としては、腫瘍組織から分泌されるトキソホルモンやマリグノリピンなどの毒性物質の影響のほか、腫瘍がそれ自体の発育のために、個体に必要な栄養物を横取りする、腫瘍が広がって重要な臓器の機能を障害する、腫瘍のため感染症や出血がおこる、などがあげられている。トキソホルモンは人の癌(がん)組織から、1948年(昭和23)中原和郎(わろう)により分離命名されたもので、肝臓のカタラーゼ活性(過酸化水素を分解する酵素の働き)を低下させる因子とされている。[渡辺 裕]

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精選版 日本国語大辞典の解説

あくえき‐しつ【悪液質】

〘名〙 (cachexia の訳語) 結核や癌(がん)などの末期にみられる、全身の消耗の著しい状態をいう。やせ衰え、皮膚は生気がなく、特有な黄灰色を帯びた青白色となり、まぶたや足は多少むくむなど、全身に衰弱を生じた末期状態。〔医語類聚(1872)〕

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世界大百科事典内の悪液質の言及

【癌】より

…肺の小細胞癌は,しばしば副腎皮質ホルモンを出し,そのためクッシング病Cushing diseaseと同様な症状が現れたりする。癌の末期に全身状態が非常に衰えた場合を悪液質に陥ったという。これは癌からあるいは癌に対する反応として宿主細胞から出るTNF(カケクチン)やIL‐6等のサイトカインが関与している。…

※「悪液質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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