腫瘍(しゅよう)のうち、とくに悪性腫瘍とよばれるものは、発生した臓器ばかりでなく、個体全体に対しても大きな影響を与えることが特徴とされている。体力が衰え、皮膚の色つやが悪くなり、食欲も減退して、慢性の栄養不足の状態となり、貧血や浮腫を引き起こしてくる。このような状態を悪液質(カヘキシーcachexia)または悪態症という。悪液質をおこす原因としては、腫瘍組織から分泌されるトキソホルモンやマリグノリピンなどの毒性物質の影響のほか、腫瘍がそれ自体の発育のために、個体に必要な栄養物を横取りする、腫瘍が広がって重要な臓器の機能を障害する、腫瘍のため感染症や出血がおこる、などがあげられている。トキソホルモンは人の癌(がん)組織から、1948年(昭和23)中原和郎(わろう)により分離命名されたもので、肝臓のカタラーゼ活性(過酸化水素を分解する酵素の働き)を低下させる因子とされている。
[渡辺 裕]
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…肺の小細胞癌は,しばしば副腎皮質ホルモンを出し,そのためクッシング病Cushing diseaseと同様な症状が現れたりする。癌の末期に全身状態が非常に衰えた場合を悪液質に陥ったという。これは癌からあるいは癌に対する反応として宿主細胞から出るTNF(カケクチン)やIL‐6等のサイトカインが関与している。…
※「悪液質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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