改訂新版 世界大百科事典 「バッスル」の意味・わかりやすい解説
バッスル
bustle
女性のスカートの後ろ腰を大きくはりだすために,その下に着用した腰当てで,フランスではトゥールニュールtournureと称した。バロック末期,ロココ末期に流行したキュ・ド・パリcul de Paris(パリのお尻)と呼ばれる腰当てもこの系統に属するが,その形はモードの流れによって変化した。服飾史上,バッスルが一つの様式として確立されるのは,1860年代のクリノリンの衰退の後のことで,70年から76年にかけてと,80年から87年にかけての二つの時期であった。スカートのふくらみを後方にまとめ,胸と腰をリズミカルに突き出したバッスル・スタイルは,当時の欧米女性の間に大流行したばかりでなく,日本の鹿鳴館時代の洋装にもとり入れられた。
→スカート
執筆者:井上 泰男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報