日本大百科全書(ニッポニカ) 「パウルソン」の意味・わかりやすい解説
パウルソン
ぱうるそん
Gestur Pálsson
(1852―1891)
アイスランドの小説家。農民の子として生まれ、ラテン語学校を終えてから、神学を学ぶためコペンハーゲンに渡ったが、文学に没頭。のちに帰国しジャーナリストになる。小市民的生活を嫌い、1890年カナダに移り、アイスランド語の週刊紙『ヘイムスクリングラ』の編集者となり、祖国の後進性と闘うかたわら、社会の不正と偽善を暴き、被圧迫者への同情の濃い小説を多く書いた。アイスランドのリアリズム文学のパイオニアと称される。文学理論をブランデスに学んだが、作風はノルウェーのヒェランやロシアのツルゲーネフの影響を受けた。『ハンス・ベッグル』Hans Vöggur(1883)ほかの作品がある。
[谷口幸男]