ブランデス(読み)ぶらんです(英語表記)Georg Morris Cohen Brandes

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブランデス」の意味・わかりやすい解説

ブランデス(Heinrich Wilhelm Brandes)
ぶらんです
Heinrich Wilhelm Brandes
(1777―1834)

ドイツ数学者、気象学者。グローデンの生まれ。1811年ブレスラウ大学教授となり、1826年ライプツィヒ大学に転じた。ブレスラウ大学時代に発表した『天気学研究』Beiträge zur Witterungskunde(1820)のなかに、世界最初の天気図を描いて掲載した。当時は通信が発達していなかったから、その日の新しい天気図ではなく、図書館にそれまで死蔵されていた1783年の気象観測記録による毎日の天気図であった。この記録は、ババリア侯テオドルKarl Theodor(1724―1799)によって組織されたパラチナ気象学会が、ヨーロッパ各地でほぼ規格を統一して行った観測結果であった。

根本順吉


ブランデス(Georg Morris Cohen Brandes)
ぶらんです
Georg Morris Cohen Brandes
(1842―1927)

デンマークの文芸批評家。コペンハーゲン大学で法律、哲学を学び、抜群の成績を示すが、ユダヤ系のため大学の講壇に残れなかった。イギリス、フランス、ドイツに巡遊ルナンテーヌ、ミルらと親しく交わって影響を受ける。1871年帰国、コペンハーゲン大学講師として『19世紀文学主潮』(1872~90)を講じてセンセーションを起こし、名声は全ヨーロッパに広がる。それは世界文学的見地から西欧各国文学の交流と相互影響をとらえ、作家の個性を鮮やかに描き出す優れた文学批評の試みで、日本でも広く読まれた。『ロシア印象記』(1898)はその追補とみられる作。ほかに『キルケゴール』(1877)、『イプセンビョルンソン』(1882)、『黎明(れいめい)期の作家たち』(1883)、『シェークスピア』(1895~96)、『ゲーテ』(1915)など著作はすこぶる多いが、晩年は反民主主義に傾き人気を失った。

[山室 静]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブランデス」の意味・わかりやすい解説

ブランデス
Brandes, Georg Morris Cohen

[生]1842.2.4. コペンハーゲン
[没]1927.2.19. コペンハーゲン
デンマークのユダヤ系の思想家,批評家。コペンハーゲン大学で法律を学び,次いで哲学に転じ,スピノザやヘーゲルに傾倒。 1871年,ヨーロッパ遊学の旅から帰国,母校の講師となり,のちに『19世紀文学主潮』 Hovedstrømninger i det 19de Aarhundredes Litteratur (6巻,1871~87) にまとめられた講義を開始。また雑誌『19世紀』を出して急進的リアリズムを推進し,J. P.ヤコブセン,ドラックマン,ポントピダンらを育て,国外ではイプセン,ビョルンソン,ストリンドベリ,ラーゲルレーブらを励まし,またキルケゴール,ニーチェを世界に紹介した。ほかに『デンマークの詩人たち』 Danske Digtere (77) ,『近代の突破者たち』 Det moderne Gjennembruds Mænd (83) ,『イエス伝説』 Sagnet om Jesus (1925) など。

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