パキポディウム(その他表記)Pachypodium

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パキポディウム」の意味・わかりやすい解説

パキポディウム
Pachypodium

キョウチクトウ科パキポディウム属の総称。 20数種が南アフリカマダガスカルナミビアアンゴラに分布する多肉植物。乾燥地に生育するため,茎の内部に水分をたくわえる海綿状の組織が発達し,硬い表皮で水分の蒸散を防いでいる。花色は黄色,白色,桃色,赤色があり,いずれも花冠はキョウチクトウに似た形で5裂する。茎は柱状で表面に鋭いとげがあり,原産地では 10mをこえるパキポディウム・ラメレイ P.lamereiやパキポディウム・ゲアイ P.geayi,茎がショウガの根茎のような形をしているパキポディウム・ブレビカウレ P.brevicauleなど,ユニークな形態のものが多い。一般に鉢植えで流通するのはラメレイやゲアイなどである。高温と直射光を好む。水はけのよい砂質の用土を用いる。乾燥には強いが過湿に弱いので,水のやりすぎに注意する。冬期は水やりを控え,10℃以上に保つ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パキポディウム」の意味・わかりやすい解説

パキポディウム
ぱきぽでぃうむ
[学] Pachypodium

キョウチクトウ科(APG分類:キョウチクトウ科)の1属。南アフリカに5種、マダガスカルに20種自生する。デンシフロールム種などが知られるが、特異な形態を示す植物で、幹があまり太らないものから、瓶形、壺(つぼ)形、塊根性のものまであり、つぼ植物と称される一群に属する。幹には普通1対、種によって3本の刺(とげ)がある。幹を傷つけると白い汁液を出す。花は大きく、花色は種によって白、黄、赤色など。小形種は周年冷涼な高地に分布する。多くは高温生育型で、20℃以下になると葉が色づき始め、15℃以下で落葉し始める。生育旺盛(おうせい)でじょうぶな植物であるが、傷をつけると腐敗しやすい。

[後藤寿明 2021年6月21日]

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