しょうが(読み)ショウガ(その他表記)ginger
Zingiber officinale Rosc.

デジタル大辞泉 「しょうが」の意味・読み・例文・類語

しょうが

《語源未詳。歴史的仮名遣いは「せうが」とすることもあるが不明》多く「しょうがには」の形で接続助詞的に用いられる。…した以上は。…したからには。
石地蔵と生れ付た―には」〈二葉亭浮雲

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精選版 日本国語大辞典 「しょうが」の意味・読み・例文・類語

しょうが

  1. 〘 名詞 〙 ( 多く「しょうがには」の形で接続助詞のように用いる ) ある事態が起こった以上は、それから生まれる結果はやむを得ないことを示す。…したからは。…した以上は。
    1. [初出の実例]「女郎かいに上下はない。どっこいといふせうがには、どこでもおもしろいはづ」(出典:洒落本・通人の寐言(1782)上)
    2. 「石地蔵と生れ付たせうがには、〈略〉チョックリチョイといって除ける事の出来ない文三」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)

しょうがの補助注記

語源は未詳で、歴史的かなづかいも明らかではない。

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改訂新版 世界大百科事典 「しょうが」の意味・わかりやすい解説

ショウガ (生姜)
ginger
Zingiber officinale Rosc.

ショウガ科の多年草香辛料として世界的に知られている。起源は古く,インド原産とされているが,野生種は発見されていない。熱帯域が原産地であるので,高温多湿を好み,日本では7月から9月ごろにかけてよく生育する。草丈は60~90cmになり,地下茎は順次短縮した分枝を派生し,それぞれから直立した茎葉を茂らせる。生育するにつれて個々の茎葉の基部の地下茎が肥大し,節くれだった形状となる。地下茎は多肉で黄色を呈し,繊維質で芳香と辛みがある。葉は2列に互生し,葉身は長さ15~30cm,幅3cm程度で細長く先がとがる。葉鞘(ようしよう)は鞘(さや)状で相互に重なり,茎状の構造を形成する。暖地ではまれに地下茎から花茎を伸ばし,頂部に花穂をつけるが結実はしない。

 ショウガは東南アジアから東アジア温暖域で古くから栽培されていた。ヨーロッパでも1世紀のころから薬用として知られており,その後香辛料としての利用が広まり,13~14世紀にはその利用が一般的となったが,栽培はきわめて少ない。新大陸には16世紀の初めにスペイン人がジャマイカに移植し,ヨーロッパやアメリカに大量に輸出されるまでになった。日本への伝来の年代は明らかでないが,平安朝時代に栽培されたことは《延喜式》に記されている。また品種が区別して記載されるようになったのは19世紀になってからといわれている。

 また日本で栽培されているショウガの品種は大別して大ショウガ,中ショウガ,小ショウガの3群に分類される。大ショウガは生育旺盛で大株となり,地下茎の肥大もよく,収量も多い。おもに漬物や菓子用に使われる。中ショウガは生育は中位で,分げつもやや少ない。葉ショウガや漬物に適する。小ショウガは早生で,茎は細く草丈は低いが分げつが多い。芽ショウガや葉ショウガなどの促成栽培用に使われる。繁殖には地下茎を分割した種ショウガを用い,栽培は耕土が深く排水と保水性のよい土壌が適する。千葉・埼玉・長崎県などに栽培が多い。漬物,薬味,菓子用のほか薬用,ソースなどの調味用やジンジャー・エールの製造などに使われる。
執筆者:

ショウガの根茎を生薬では生姜(しようきよう)という。精油を含み,独特の芳香がある。主成分はジンギベロールzingiberolで,ほかにセスキテルペンモノテルペン,辛味成分として結晶性のジンゲロンzingerone,油性のショウガオールshogaolなどを含む。

 他の生薬と配合して芳香性健胃,食欲増進,新陳代謝機能促進,鎮嘔,鼻詰り,悪寒発熱に用いられる。消炎鎮痛作用があり,姜汁(きようじゆう)とサトイモの親芋をつきつぶしたものと小麦粉を混ぜ,関節痛,肋間神経痛などに外用する。また食物の毒(肉類,魚類など)および薬毒(半夏(はんげ),天南星(てんなんしよう)などの)を除く。東南アジアではショウガに近縁な2~3種のショウガ属植物が利用されている。
執筆者:

古くから重要な香味野菜で,《和名抄》は香味野菜の総称として〈薑蒜類〉の語を用い,〈生薑〉の和名を〈くれのはじかみ〉,あるいは〈あなはじかみ〉,〈乾薑〉を〈ほしはじかみ〉としている。そののち,本来はサンショウ(山椒)を指したと思われる〈はじかみ〉の名を占有するようになり,現在も葉つきショウガや,それを酢にひたした酢どりショウガをはじかみと呼ぶ。根ショウガと葉つきショウガにわけられる。根ショウガは土ショウガともいい,古いものをひねショウガと呼ぶ。おろしたり刻んだりして薬味,吸口などに広く用い,薄切りにしたものは梅酢につけて紅ショウガにするほか,甘酢につけたものをすしに添え,あるいはそのまま砂糖漬にしたり,魚や肉の煮物に加えたりする。葉つきショウガは谷中ショウガとも呼ばれ,そのまま,あるいは焼いてみそをつけて食べる。また,酢どりショウガにして焼物などのあしらいにするが,これは葉の付け根にあるアントシアン系の色素が酢によって発色するため紅色を呈している。中国料理では魚や肉の料理に多く用い,西洋料理では乾燥して粉末にしたものを料理や菓子に使う。
執筆者:

熱帯を中心に分布する多年草で,約45属700種からなる単子葉植物。とくに東南アジアからマレーシア域で多くの種属が分化し,香辛料,薬用,観賞用などに利用される有用植物を多く含む。大多数は地下茎を有する草本で,葉鞘(ようしよう)が巻き重なった偽茎に葉を2列に互生するが,コスツスオオホザキアヤメ)類では,葉は地上生の茎にらせん状につく。葉鞘の上端部にイネ科に見られるような葉舌が分化している。花は偽茎の上端,途中や基部,あるいは全然別の位置から出る円錐状や総状あるいは頭状の花序につき,左右相称形で,花被片は外側の3枚の萼片と内側の3枚の花弁に分化している。稔性のあるおしべは1本,不稔おしべは弁化して唇弁と呼ばれる花弁状のものになる。子房は下位,多数の胚珠をいれる。カンナ科,クズウコン科,バショウ科などに近縁。

 香辛料としてカレーに使われるウコン類をはじめショウガ,シュクシャなどがある。これらは薬用にも多用されるし,若芽や花序を野菜として食用にすることも多い(芽ショウガ,ミョウガ)。コスツス類,ショウガ類,シュクシャ類,ゲットウ類などは花や花序,それに常緑性の葉も観賞するため,熱帯域では広く栽植されている。
執筆者:


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「しょうが」の意味・わかりやすい解説

ショウガ
しょうが / 生姜
[学] Zingiber officinale Rosc.

ショウガ科(APG分類:ショウガ科)の多年草。ハジカミ(薑)ともいう。地下茎を食用とする。茎は地中にあり、節くれだって肥大し、塊茎となる。節から地上に伸び出る茎状のものは、鱗片(りんぺん)状の葉や葉鞘(ようしょう)部が重なった偽茎で、上部に普通の葉を互生し、高さ50~90センチメートルになる。葉身は先のとがった細長い楕円(だえん)形で、長さ15~30センチメートル、温帯では花をつけることはまれであるが、熱帯や亜熱帯では花が咲く。地下茎から高さ20センチメートルほどの花茎を出し、その先に短い穂状花序をつける。一般に種子はできない。原産地はインドを中心とした熱帯アジアと推定されているが、野生種は発見されていない。古い時代に中国に伝わり、3世紀以前に日本にも渡来したらしい。

 ショウガの塊茎には特有の香りと辛味があり、利用面も多いが種子ができず、塊茎で増殖するので品種の分化は比較的に少ない。塊茎の大きさによって小ショウガ、中ショウガ、大ショウガの3群に分けられ、小ショウガには谷中(やなか)や金時(きんとき)など、中ショウガには三州(さんしゅう)や近江(おうみ)ショウガなどの品種がある。小ショウガと中ショウガの品種は、日本で栽培され、分化したものである。大ショウガは江戸時代以後に渡来したと考えられ、印度(インド)生姜、広東(カントン)生姜などの品種がある。また、利用面から根ショウガ、葉ショウガ、芽ショウガなどにも分けられる。根ショウガは、秋にとった塊茎を貯蔵して随時出荷するもので、薬味や香辛料、漬物などに利用され、干しショウガにもされる。葉ショウガは、植え付けた塊茎から伸びた偽茎に、葉が3~4枚開いた状態で出荷するが、新しい地下茎が肥大し始めたころで、生食に適している。葉ショウガを栽培するのに利用した種ショウガは辛味が強く、老成(ひね)ショウガとよばれて薬味に利用する。芽ショウガは、光を遮って育てたもので、軟化ショウガともよばれ、柔らかく、紅色で美しいので和食の付け合せに最適である。

[星川清親 2019年6月18日]

薬用

漢方では新鮮な根茎を生姜(しょうきょう)といい、薬とする。八百屋で老成生姜または古根(ふるね)と称しているものがそれで、健胃、利尿、鎮嘔(ちんおう)、鎮咳(ちんがい)、発汗剤として感冒、慢性胃腸炎、慢性気管支炎、嘔吐、つわり等の治療に用いる。乾燥したものを乾生姜(かんしょうきょう)または乾姜(かんきょう)といい、辛味が非常に強いので、体の冷え、腹痛、下痢、新陳代謝機能の衰え等の治療に用いる。民間では生姜をおろして液汁をとり、砂糖と温湯を加えて感冒と咳(せき)に用いる。

[長沢元夫 2019年6月18日]

文化史

日本に渡来したもっとも古い野菜の一つで、3世紀の『魏志倭人伝(ぎしわじんでん)』に薑(きょう)の名で載る。中国では有史前から栽培され、乾かした乾薑(かんきょう)や生の生薑(しょうきょう)が薬に使われた。ショウガの名は生薑を呉音で読んだショウカウに由来したとされる。室町時代にはタイの刺身に酢漬けのショウガを添え、江戸時代の天保(てんぽう)(1830~1844)のころから京都や大坂で梅酢漬けの紅しょうがが組み合わされた。ショウガのジンゲロン、ショウガオール、ジンゲロールなどの辛味成分は殺菌作用があり、なま物にショウガを添える庶民の知恵は、科学的にも裏づけられる。ショウガは魔除(まよ)けになるとの俗信もあり、東京の芝大神宮(しばだいじんぐう)、鹿児島市の多賀神社(たがじんじゃ)など各地の神社で、秋にしょうが市(いち)が立つ。

[湯浅浩史 2019年6月18日]


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食の医学館 「しょうが」の解説

ショウガ

《栄養と働き》


○栄養成分としての働き
 東南アジア原産の多年草植物の根です。わが国には3世紀ころまでに中国から入ってきたとされています。
 ショウガは魔除けになるといわれており、東京や鹿児島の神社では、ショウガ市を開くところもあるといいます。
〈新陳代謝を活発にし、体をあたためて冷え症を改善〉
 栄養的にはビタミンB1、B2、Cが少量含まれる程度なので、ほとんど期待できません。しかし、特有の辛みや香りにすぐれた薬効があります。
 まず、ショウガの辛みは、ジンゲロンやショウガオールといった辛み成分によるものです。これらにはすぐれた殺菌力があり、食中毒の予防に有効です。また、胃液の分泌(ぶんぴつ)を促進し、消化吸収を助けるので、食欲のないときなどは積極的にとるようにするといいでしょう。
 新陳代謝(しんちんたいしゃ)を活発にし、発汗(はっかん)作用を高める働きもあります。さらに、内臓の働きを活発にします。
 とくに腎臓(じんぞう)ではこれらの成分の保温作用によって、冷えからくる腎盂炎(じんうえん)や膀胱炎(ぼうこうえん)に効果的だといわれています。
 辛み成分の1つであるジンゲロンには、魚などの臭みを消す消臭作用があると同時に、日和見菌(ひよりみきん)に対する抗菌性などが認められています。つまり、魚などによる中毒を予防する働きもあるということです。
 ショウガの香りは、ジンギベレンという成分です。胃を健康にする作用、解毒作用、消臭作用があり、かぜの初期症状や吐(は)き気(け)止め、たん切り、せき止め、冷え症の改善、神経痛の緩和などに効果があります。また、ジンギベレンはコレステロール値の低下や血圧降下にも働くことがわかっています。
○漢方的な働き
 食用には根ショウガ(ヒネショウガ)、芽ショウガ(新ショウガ)、葉ショウガがあります。漢方では根ショウガを生姜(しょうきょう)と呼び、石炭をまぶして陰干しにしたものを乾姜(かんきょう)といいます。乾姜は、生より体をあたためる作用が強く、冷えによる下痢(げり)などにいいとされています。

《調理のポイント》


 根・芽ショウガは1年中出回っていますが、葉ショウガは5~8月が旬(しゅん)。葉ショウガは辛みが少ないので、そのまま味噌をつけるなどして食べられます。新ショウガは薄切りにしてサッとゆで、甘酢漬けにして保存食にし、常備するといいでしょう。
 かぜぎみのときはショウガのおろし汁に刻みネギを加えて熱湯を注いだショウガ湯を飲むと、悪化するのを抑えられます。
 かぜによるせきや扁桃炎(へんとうえん)には、ショウガをおろしたものを大さじ1~2杯、ガーゼか手ぬぐいで包み、のどにあてて湿布をしましょう。
 料理では、生臭いレバーやモツを使う際に、ショウガの絞り汁をふりかけると、臭みが感じられなくなります。
 食欲不振でだるいようなときは、ビタミンB1の吸収を助けるタマネギと組み合わせた料理に使うと食欲が増進されます。
 刺激が強いので、胃腸の弱い人は一度に多量にとらないようにしましょう。

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百科事典マイペディア 「しょうが」の意味・わかりやすい解説

ショウガ

ジンジャーとも。インド,マレー原産といわれるショウガ科の多年草。香辛料として世界的に知られるが,特にアジアで栽培,利用されている。葉は披針形で深緑色,夏〜秋,開花するが,日本ではまれにしか花が咲かない。根茎は灰色または黄色,繊維質で屈指状となり,辛味と芳香がある。栽培は普通春に植え付け,秋,収穫。このほか,促成栽培,軟化栽培などがある。根茎を干し,粉末にした干しショウガ,梅酢漬にした紅ショウガ,茎を5〜7cmつけたままの芽ショウガなどがあり,薬味,料理の付合せなどにする。ハジカミとも呼ばれる。
→関連項目香辛料ジンジャーハジカミ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「しょうが」の意味・わかりやすい解説

ショウガ
Zingiber officinale; ginger

ショウガ科の多年草で,熱帯アジア原産。世界各国で栽培されている。日本には中国を経て古くから伝えられた。淡黄色の根茎は多肉で地中を横にはい,曲げた指を並べたように分枝する。各節から地上茎を直立し,葉を2列に互生する。葉は披針形で先端がとがる。日本では普通花は咲かないが,暖地では夏に黄緑色の小花を穂状花序をなしてつける。古くから世界各地で香料,薬用,食用にされてきた。未熟のもの,成熟したもの,生のまま,あるいは干しショウガが利用されており,香辛料としてはおもに干しショウガが用いられるが,ジャマイカジンジャーが最上品とされている。日本では静岡産のものが有名である。香辛料として用いられるほか,漬物,飲料,菓子原料などにも用いられる。

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普及版 字通 「しょうが」の読み・字形・画数・意味

】しようが

のろの

字通「」の項目を見る


】しようが

争論。

字通「」の項目を見る


【衝】しようが

三角形の玉、雑佩。

字通「衝」の項目を見る

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栄養・生化学辞典 「しょうが」の解説

ショウガ

 [Zingiber officinale].ショウガ目ショウガ科ショウガ属の多年草.草丈30〜70cmになる.根をそのまま食用にしたり,スパイスとして使用する.

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世界大百科事典(旧版)内のしょうがの言及

【ジンジャー】より

ショウガZingiber officinale Rosc.の根茎にはジンギベレーンzingiberene,ジンギベロールzingiberolなどの芳香性の揮発油と,ジンゲロンzingerone,ショウガオールshogaolなどの辛味成分が含まれるので,ジンジャーの名のもとに,香辛料や芳香性健胃薬,またジンジャー・エールなどの清涼飲料に広く用いられる。さらにショウガと同じような芳香辛味成分を有するものも,ジンジャーと呼ばれる。…

【ジンジャー】より

ショウガZingiber officinale Rosc.の根茎にはジンギベレーンzingiberene,ジンギベロールzingiberolなどの芳香性の揮発油と,ジンゲロンzingerone,ショウガオールshogaolなどの辛味成分が含まれるので,ジンジャーの名のもとに,香辛料や芳香性健胃薬,またジンジャー・エールなどの清涼飲料に広く用いられる。さらにショウガと同じような芳香辛味成分を有するものも,ジンジャーと呼ばれる。…

【中国料理】より

…ホットペッパーの名のごとく,口の中が焼けるような辛味を強調する料理によく使われ,生臭さを抑えたり,魚やエビの料理に効果的で肉料理にも使用する。 薑ショウガ。新ショウガ(子姜)は肉といためたり漬物にする。…

※「しょうが」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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