日本大百科全書(ニッポニカ) 「パパタシ熱」の意味・わかりやすい解説
パパタシ熱
ぱぱたしねつ
pappataci fever
サシチョウバエによって媒介されるウイルス性の急性熱性疾患で、パパタチ熱ともいい、チョウバエ熱、スナバエ熱、白蛉(パクレイ)熱などの異名もある。病原体はパパタシ熱ウイルスで、径約50ナノメートルのRNAウイルスである。分布は北緯20~45度のヨーロッパからアジアにまたがる地域で、季節はサシチョウバエの発生する夏季に限られる。潜伏期は6~7日で、前駆症状はなく突然発熱し、高熱とともに顔面が紅潮してくる。重病感が強く、悪心や嘔吐(おうと)などの消化器症状もみられる。有熱期間はほぼ3日以内で、三日熱ともよばれ、予後は良好である。対症療法だけが行われる。予防としては、サシチョウバエの駆除と、刺されないように蚊帳(かや)や防虫クリームを用いる。
[松本慶蔵・山本真志]