家庭医学館 「パパタチ熱」の解説
ぱぱたちねつ【パパタチ熱 Pappataci Fever】
刺蝶(さしちょう)バエ(砂(すな)バエ、中国では白蛉=パイリン)に刺され、そのハエが保有するウイルスに感染しておこる病気です。
●おもな発生地
中国の北京(ペキン)~天津(テンシン)地区・香港(ホンコン)、マレーシア、ミャンマー、ヒマラヤ山麓(さんろく)、パキスタン、インド、スリランカ、地中海沿岸、アドリア海沿岸、黒海沿岸、グアテマラ、ブラジル、アフリカ西部などです。
[症状]
5~8日の潜伏期間の後、寒けをともなった39℃の高熱が出て、激しい頭痛、眼痛(眼球(がんきゅう)を動かすと目の奥が痛む)、目の充血(じゅうけつ)、全身の関節や筋肉の痛みがあり、吐(は)き気(け)や食欲不振が強く、かなり下痢(げり)もおこり、粘血便(ねんけつべん)が出て赤痢(せきり)とまちがえられることもあります。
このような症状が2~3日続き、3日目から解熱し、回復に向かいます。有熱期間は短いのですが、衰弱が強いので回復が長びきます。
[治療]
温暖な季節に流行地に行き、刺蝶バエの刺し傷があればこの病気と診断されます。
特効薬はないので、アスピリンで痛みを抑えるなどの対症療法が中心になります。生命にかかわることは、まれです。
[予防]
刺蝶バエの飛ぶ範囲は、高さ3m、横10~20mで、夜間に活動します。流行地では、ベッドに網目の細かい蚊帳(かや)をつり、寝室に殺虫剤をまき、皮膚にクリームを塗りましょう。