改訂新版 世界大百科事典
「パブロフ生理学研究所」の意味・わかりやすい解説
パブロフ生理学研究所 (パブロフせいりがくけんきゅうじょ)
Institut fiziologii imeni I.P.Pavlova
ロシア科学アカデミーに所属する研究所。サンクト・ペテルブルグにある。1925年にI.P.パブロフのノーベル生理学・医学賞受賞を記念し,ロシア科学アカデミー付置の生理学実験所を改組拡充して設立された。当初は単に生理学研究所と称したが,36年,パブロフの死とともにその名を冠した。また50年にはサンクト・ペテルブルグ近郊の生物学研究所を傘下に収め,ソ連・ロシアを代表する大研究所へと発展した。研究所では,パブロフの研究を継承して,大脳生理学の研究に力が注がれている。近年は,宇宙,海洋,鉱山,工場など,空気の希薄な環境や汚染した環境において,人間の呼吸機能がどう反応し変化するかなど,呼吸生理学の分野にも大きな努力が払われている。
執筆者:成定 薫
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パブロフ生理学研究所
パブロフせいりがくけんきゅうじょ
Institut fiziologii im I. P. Pavlova
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世界大百科事典(旧版)内のパブロフ生理学研究所の言及
【記号】より
…もっとも広い意味での記号とは,〈ある事物・事象を代理するもの〉のことをいう。この代理の生理学的メカニズムは[I.P.パブロフ]によって明らかにされた。食物摂取による唾液分泌は無条件反射だが,犬に食物を与える際にブザーの音を聞かせておくと,犬はブザーの音を聞いただけでも唾液を分泌するようになる。…
【条件づけ】より
…また,この型の学習では2種の刺激の組合せ(連合)が重要であり,連合学習associative learningという。この学習のモデルとして,I.P.パブロフの条件反射を原型とする古典的条件づけと,E.L.ソーンダイクの道具的条件づけがある。これらはともに二つの過程の連合が重要で,古典的条件づけでは2種の刺激の連合が,道具的条件づけでは動物の反応とそれを基準とした強化刺激の連合が重要となる。…
【条件反射】より
…[I.P.パブロフ]によって研究,発見された学習現象の一種で,[学習]の最も基本的な型をなすと考えられている。パブロフの条件反射は生理学の領域から出発したが,それは諸方面,とくに心理学に大きな影響を与えた。…
【信号】より
…信号には,たとえば〈行け〉という表現のように言葉によってその意味を伝達する〈言語的信号〉と,表情や身ぶりによってそれを伝達する〈非言語的信号〉がある。[パブロフ]は,動物が条件反射によって獲得した信号を〈第1信号系〉と呼び,人間の言語をとくに〈第2信号系〉と呼んで区別している。また,話し手が相手に情報を伝えるため意図的にこれを用いる〈意識的信号〉と,伝達の意思はないのに怒りや喜びなどの感情が相手に伝わる〈無意識的信号〉を区別できる。…
※「パブロフ生理学研究所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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