大学事典 「ロシア科学アカデミー」の解説
ロシア科学アカデミー[露]
ロシアかがくアカデミー
ロシア連邦の国立アカデミーの一つ。教育,建築,芸術にそれぞれ関わる他の国立アカデミーに対して特別の法的地位を保証されている。自然科学,工学,医学,農学,社会科学,人文科学などにわたる広範な基礎的学術研究分野を包括し,ロシア連邦の学術政策に関する提言,国家等の公的事業計画に関する専門的評価の提供,内外の学術研究に関する情勢分析の政府への報告等を基本任務とする。その歴史は,1724年ピョートル1世の指示で設置されたサンクト・ペテルブルグ帝室科学アカデミー(ロシア)に始まり,ロシア革命後のロシア科学アカデミー,1925年のソ連邦科学アカデミー(ロシア)を経て,1991年12月のソ連邦崩壊直前にロシア科学アカデミーとして復興され,今日に至っている。
21世紀に入ってから,ボローニャ・プロセス加盟などの高等教育改革とともに,先端科学部門の充実や学術行政の国家統制の強化など研究体制改革が進められてきた。2013年9月にロシア医学アカデミーとロシア農学アカデミーを統合するとともに,財務管理を新設の連邦学術機関庁(ロシア)に移管するなど大規模な改革が行われた。この改革によってアカデミーの予算は激減し,基本的に本部経費のみとなる一方,連邦学術機関庁はアカデミー傘下の研究機関の財務管理とともに所長人事も掌握した。すなわち,アカデミーはその研究実施機能を失い,学術政策の立案と評価に関する諮問機関となった。この改革以降,実績評価に基づく傘下学術機関の整理・再編が始まり,研究体制の効率化が推進されている。
著者: 遠藤忠
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報