日本大百科全書(ニッポニカ) 「パリ・オペラ座」の意味・わかりやすい解説
パリ・オペラ座
ぱりおぺらざ
Théâtre National de l'Opéra, Paris
フランスを代表するオペラ劇場。1669年設立の王立音楽アカデミーが起源で、その後たびたび名称変更、移転を繰り返した。現在の壮麗な大歌劇場は1875年ガルニエの設計で完成、ガルニエ宮ともよばれる。とくに19世紀はヨーロッパのオペラ活動の中心の一つで、ロッシーニ『ウィリアム・テル』、マイヤベーアのグランド・オペラ『ユグノー教徒』、ベルディの『ドン・カルロス』をはじめ多数の作品が初演された。
第二次世界大戦後低調な時期があったが、1973年スイスの作曲家・オペラ監督ロルフ・リーバーマンRolf Liebermann(1910―1999)を総監督に迎えて復興した。1989年にバスチーユ広場に面して新しいオペラ劇場が完成してからは、オペラはおもにこの新オペラ座(バスチーユ歌劇場)で上演され、旧来のオペラ座(ガルニエ宮)ではバレエを上演することが多いが、区分は明確でない。専属のオーケストラ、バレエ団、合唱団、舞台スタッフを擁し、ダンス学校、オペラ歌手養成センターも併設している。
[美山良夫]
『ミッシェル・サラザン著、木村博江訳『パリ・オペラ座――夢の聖堂の秘密』(1989・音楽之友社)』▽『竹原正三著『パリ・オペラ座――フランス音楽史を飾る栄光と変遷』(1994・芸術現代社)』