日本大百科全書(ニッポニカ) 「パン・フラワー」の意味・わかりやすい解説
パン・フラワー
ぱんふらわー
sculpture in bread
英語では「パンの彫刻」といわれる。パン・フラワーはメキシコや中南米の家庭から始まったといわれている。メキシコではボリーヨという小形のパンを常食としているが、パンの表面がパリパリとおいしく、そのため柔らかい中身が捨てられることがあり、その部分を素材として「花の彫刻」パン・フラワーがつくられ、メキシコの民芸品にまでなっている。また日本の盆の行事に似たノーチェ・デ・ムエルトス(精霊の夜祭り。11月1~2日)には、民家の祭壇にオレンジやバナナ、人間をかたどったパンが飾られることから生まれたともいわれる。現在ではパンを粘土状にした素材が日本でも売られるほど、このパン・フラワーはたいへん流行している。作り方も簡単で、接着剤の混じったパンを好きな形につくり、それを自然乾燥か、オーブンで焼き上げ、焦げ茶色にしてうわぐすりを塗るだけのものと、彩色して陶製と見まがうほど美しく仕上げたものとがある。彩色には油絵の具を用いる。
[市川久美子]