ヒメヒトデ(その他表記)Henricia nipponica

改訂新版 世界大百科事典 「ヒメヒトデ」の意味・わかりやすい解説

ヒメヒトデ (姫海星)
Henricia nipponica

ヒトデ綱ルソンヒトデ科の棘皮(きよくひ)動物。北海道から本州中部に分布し,岩礁帯にすむ。腕の長さは,ほぼ2cmで細長く,先端方向へしだいにとがっている。体色は赤色,褐色,黒褐色など変異が多く,不規則な斑点がある。体の背面は網目状で小さなとげが密生している。皮鰓域(ひさいいき)が小さく,皮鰓が単生する。雌雄異体。産卵期は3月で,雌は盤を上げて腕をすぼめ,壺状の保育室をつくり,その中に卵を産む。産卵数は親の体の大きさに比例して15~255個。その場所で発生がすすみ,変態を完了して直径1.7mmの稚ヒトデになるまで保育する。したがってこの種の幼生には浮遊期がない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒメヒトデ」の意味・わかりやすい解説

ヒメヒトデ
Henricia nipponica

棘皮動物門ヒトデ綱有棘目エキナステル科。腕長 2cmほどの小型のヒトデで,体色は赤,褐色,黒褐色など,色彩に変異が多い。体の背面は網目状で,腕は細く,先端方向へとがる。春夏の繁殖時に雌は各腕を腹側に曲げて卵塊を抱き,卵が幼形になるまで哺育する。北海道から本州中部の岩礁帯にごく普通にみられる。

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