日本大百科全書(ニッポニカ) 「ひらせまんかい」の意味・わかりやすい解説
ひらせまんかい
鹿児島県大島郡龍郷(たつごう)町秋名(あぎな)(奄美(あまみ)大島の北部)に伝承する豊作祈願の行事。アラセツ(新節)の日の夕方に行われ、ショチュガマといわれる朝の行事と対になっている。アラセツは稲の収穫をくぎりとしての新しい節を意味し、旧8月初丙(ひのえ)の日をあてる。ショチュガマは行事の名であるとともに、この行事のために建てる小屋の名でもある。その小屋の上に人々がのって揺り動かし東西の稲魂(にやだま)を招き寄せる。ひらせまんかいは浜辺で行われ、水平線のかなたから稲魂を招き寄せる。神平瀬と女童(めわらべ)平瀬という二つの大岩に、一方は高位の5人の女神人たち、一方は男女神役が7~8人のり、互いに掛け合いの歌を歌い両手を招くように振る。まんかいは招き合いの意という。行事終了後一同で八月踊などが踊られる。秋名のアラセツ行事として国の重要無形民俗文化財に指定されている。
[萩原秀三郎]