ヒロクチバエ(読み)ひろくちばえ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒロクチバエ」の意味・わかりやすい解説

ヒロクチバエ
ひろくちばえ / 広口蠅

昆虫綱双翅(そうし)目短角亜目ハエ群の1科Platystomatidaeの総称。この科のハエは、種類によって体の形状や大きさ、色彩や斑紋(はんもん)が大きく異なる。日本には次の2種が分布する。

(1)オオマダラバエEuprosopia grhamiは、本州、四国に分布し、体長・翅長ともに約10ミリメートル。頭部は正面が縦に長楕円(ちょうだえん)形で、前額と顔面は橙黄(とうこう)色。眼縁部は灰黄色に細く縁どられる。触角橙黄色で深い触角窩(か)に収まり、基部は互いに離れている。顔面は多少隆起し、触角窩に連なる1対の褐色縦条がある。胸部背面は灰黄色で、黒褐色の細い3縦条と不明瞭(ふめいりょう)な小点が点在する。小楯板(しょうじゅんばん)剛毛は微弱な3対である。はねには細かい黒褐色の点紋が連続する。脚(あし)は黄褐色で多少濃淡がある。前脚腿節(たいせつ)の外背方に短い剛毛列をもつ。腹部背面は灰黄褐色で不明瞭ながら3対の円紋が暗褐色に認められる。

(2)ムネアカマダラバエRivellia basilarisは、本州、四国、九州のほか台湾に分布し、体長3.5~4ミリメートル、翅長約3ミリメートル。頭部は褐色。胸部背面は小楯板も含めて赤褐色で、やや光沢がある。はねは透明で、細い黒褐色の3横帯があり、基部のものは短く、中央のものは径中横脈上に、外側のものは中肘(ちゅうちゅう)横脈上に走る。脚は黄褐色。腹部は黒色で光沢に富み、基部のみ帯赤色をなす。

[伊藤修四郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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