精選版 日本国語大辞典「中央」の解説
ちゅう‐おう ‥アウ【中央】
[1] 〘名〙
① まんなか。ただなか。中心。
(イ) 位置がまんなかであること。
※性霊集‐一(835頃)遊山慕仙詩「眷属猶如レ雨、遮那坐二中央一」
※日葡辞書(1603‐04)「テンノ chùuǒ(チュウワウ)」 〔詩経‐秦風・蒹葭〕
(ロ) 時間的な中間。また、中途。
※建内記‐正長二年(1429)七月二〇日「可レ有二披露一之由兼約諾二大館一之上者、中央非レ可二披露一也」
② 中心となる枢要な位置。たいせつな役目。また、その位置・役目にあるもの。枢軸。
※評判記・色道大鏡(1678)五「然るに此品に至るといふは、当道の中央(チウワウ)にて〈略〉、心をさとす処也」
※女猿(1948)〈田中千禾夫〉二「中央には俺から云っとく」
③ 考えや行動がかたよっていないこと。中正。中庸。
※授業編(1783)七「例の老のくり言ながら詩の妙処は其中央(チウワウ)にあらんのみ」
④ 首府。首都。また、政府。
※真理の春(1930)〈細田民樹〉島の噴煙「だが、そりゃあ中央(チウオウ)の命令でせう?」
[2]
[一] 東京都二三区の一つ。昭和二二年(一九四七)日本橋・京橋の両区が合併して成立。隅田川下流の右岸にある。室町から日本橋・銀座を経て新橋にかけては百貨店、専門店、銀行などが並ぶ商業地区で、築地には海産物問屋・中央卸売市場、兜(かぶと)町には東京証券取引所があり、隅田川の河口に東京港晴海埠頭がある。千代田区とともに東京の都心部を形成する。
[二] 札幌市の行政区の一つ。昭和四七年(一九七二)成立。市の中心部から円山(まるやま)の一帯を含む。
[三] 福岡市の行政区の一つ。昭和四七年成立。市の中心部を占め、大濠公園がある。
[六] 千葉市の行政区の一つ。平成四年(一九九二)成立。市の中心から千葉港を含む。
[七] さいたま市の行政区の一つ。平成一五年(二〇〇三)成立。市域の中心に位置し、さいたま新都心がある。
[補注]「色葉字類抄」には「中央 チウヤウ」とある。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報