改訂新版 世界大百科事典 「ヒンドゥークシュ山脈」の意味・わかりやすい解説
ヒンドゥークシュ[山脈]
Hindu Kush
パミール高原南縁から西南西へカシミール地方,パキスタン,アフガニスタンを走る山脈。アルプス・ヒマラヤ造山帯の山脈で,全長約700km,西の支脈を含めると約1200km,幅50~350kmにわたる。最高峰はパキスタンのティリチ・ミール7708m。東部は大部分5500~6000mで,最低部のバロギル峠で3777m。氷河もみられる。西部は3500~4000mで,その西に多数の支脈がイラン国境付近までのびる。年降水量は北側400~800mm,南側約300mmで,移牧に利用する草地がみられるが,東部は50mm程度である。ただ南東部はモンスーンにより雨も多く森林がある。高峻な山脈であるが,多くの峠はアレクサンドロスや玄奘(げんじよう)などによって古来中央アジアとインドとの交通路として利用され,そのためカーブル西北西約140kmのバーミヤーンの仏教遺跡など山中には史跡も多い。1964年カーブルの北約100kmのサラング峠の下にトンネルが開通した。
執筆者:小野 菊雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報