ヒンドゥー教建築(読み)ヒンドゥーきょうけんちく(英語表記)Hindu architecture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒンドゥー教建築」の意味・わかりやすい解説

ヒンドゥー教建築
ヒンドゥーきょうけんちく
Hindu architecture

ヒンドゥー教の信仰,儀礼に関連する建築の総称。通常は寺院の建築をいう。インド亜大陸において4~5世紀頃から発展し,7世紀頃,東南アジアへも伝播した。北インドでは 12~13世紀が全盛期で,以後イスラムの優勢化とともに沈滞したが,南インドでは 16~17世紀にいたって特に壮麗なものが現れた。寺院は「神々の住居」という性格が強い。木造寺院,石窟寺院もあったが,石造寺院が多く,量塊感に富み,内外を多くの彫像で飾るのが特徴。尊像を安置するビマーナ (本殿) は,内部にガルバグリハ (神祠) を備え,上部に多重的な屋根,またはシカラ (高塔) を戴く。小寺院にはビマーナのみで完結するものもあるが,多くはその前方にマンダパ (拝殿) がつき,大寺院になると,さらに中間室,供物殿,舞殿,前殿などが加わる。いくつかの寺院が集まって複合体を形成することも多い。聖域の外側には回廊,周壁,門などを設けるのが普通で,特に南インドでは高大なゴープラムが目立つ。技術的には,柱と梁桁を組み合わせる 楣式 (まぐさしき) 構造を用い,ボールト状,ドーム状の曲面天井でさえ持ち送り式構造でつくる点に特徴がある。ヒンドゥー教建築様式は,地方的特色に富んでおり,ナガラ型 (北部型) ,ドラビダ型 (南部型) ,ベーサラ型 (中間型) に三大別される。

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