改訂新版 世界大百科事典 「ビラフランカ動物群」の意味・わかりやすい解説
ビラフランカ動物群 (ビラフランカどうぶつぐん)
Villafranchian fauna
ヨーロッパ中・南部から東部(アゾフ海地域まで)の鮮新世後期から更新世前期の地層から産出する陸生化石哺乳動物群の総称。北イタリアのビラフランカ・ド・アスチを模式地とする地層名に由来する。温暖な森林型の第三紀の哺乳類から寒冷で草原型の第四紀のものへの移行過程の動物群であり,これより以前の哺乳動物群とくらべて,古い3趾のヒッパリオンが1趾のウマ(エクウス)により,森林のゾウのマストドンが草原のゾウのエレファスの仲間によって交代されるなど動物群の内容に大きな変化が見られる。初期,中期,後期に三分されるが,後期のものが第四紀の始まりを示すとされる。東アフリカのオルドバイ渓谷などでヒト(ホモ属)の化石を産出する地層に含まれる哺乳類化石は,この動物群と同様である。中国北部の泥河湾(ニーホーワン)動物群,北アメリカのブランコ動物群などの化石哺乳動物群も同時期のもので,ビラフランカ動物群と同様にそれ以前のものとくらべて内容的な変化が見られることでは一致している。
執筆者:亀井 節夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報