ビラ・ランテ(その他表記)Villa Lante

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビラ・ランテ」の意味・わかりやすい解説

ビラ・ランテ
Villa Lante

ローマ北方のバニャイアにある,ビテルボの大司教の夏の住いとそれに付属する庭園。ごく小さな2棟の建物を含む庭園は,イタリア・ルネサンスの庭園様式が確立した 16世紀なかばの構成を現在に伝えるものとして貴重 (→イタリア式庭園 ) 。本格的な建設は 1566年に始り,78年にほぼ完成,16世紀末から 17世紀初頭に増改築が行われた。庭園は最も奥のグロッタ風の仕立てに始り,ムーア人の大噴水にいたるまで一直線上にテラスを重ねて造られ,大洪水以降の人類の歴史が表現されている。右手に広がる広大な森には,人類が神の怒りを買う以前の黄金時代の表象として,さまざまな彫像や噴水を配して構成されていたが,今日ではペガサスの噴水を除き,荒廃している。

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世界大百科事典(旧版)内のビラ・ランテの言及

【庭園】より

…これらの特徴は,16世紀を通じてイタリアのルネサンス庭園の重要な特色となったのである。 16世紀に完成されたこのイタリア様式の庭園として,今日残存するもっともすばらしい例は,ローマ近郊のティボリにイッポリト・デステの営んだビラ・デステ(エステ荘),およびローマ北方のバニャイアBagnaiaのビラ・ランテVilla Lante(ともに16世紀中葉)であろう。ともに傾斜地に営まれたものだが,前者は大がかりな水の使用に特色があり,後者は16世紀イタリア庭園に特徴的なジャルディーニjardini(幾何学的な庭園)とボスコbosco(叢林)の組合せの典型である。…

※「ビラ・ランテ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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