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噴水 ふんすいfountain

翻訳|fountain

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

噴水
ふんすい
fountain

庭園や公共広場などに設けられる水を出させる装置イスラム教モスクや古代のキリスト教聖堂の前庭に設けられたものは,身を清めるという実際的な目的をもつが,一般には乾いた気候のなかで潤いのイメージをつくりだし,彫刻と合せて装飾的な効果を上げようとするものが多い。古くは前 3000年のものがメソポタミアで発掘されており,古代ローマ時代の遺構も数多くみられる。中世ヨーロッパの都市では水道工事の完成記念に中央広場を華麗な噴水で飾り,バロック期のローマでは荒廃していた水道の改修と再編成を機に市内のおもな広場に壮大な噴水を造った。トレビの噴水スペイン広場や,ナボーナ広場などの有名な噴水はこの時期のもの。日本では金沢の兼六園のものが最古とされるが,江戸初期の仙洞御所にあったとする説もある。洋式噴水の初めは日比谷公園 (1903) のものである。

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デジタル大辞泉の解説

ふん‐すい【噴水】

ふき出る水。「噴水器(=ポンプ)」
公園などの池の中に設けられる、水がふき出るように作った装置。また、その水。ふきあげ。噴泉。 夏》「―の穂を折る風の出て過ぎぬ/立子

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百科事典マイペディアの解説

噴水【ふんすい】

水を噴出させて観賞する仕掛け。広場や公園に設けられ景観を添える。古くからあり,前1世紀のアレクサンドリアヘロンは,サイフォンの原理を応用して噴水を考案したことで知られている。

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リフォーム用語集の解説

噴水

池や湖、庭園や公園などに設けられる水を噴出する装置。特に西洋式の庭園の装飾的設備として設けられることが多い。基本的には、人工に作られたものを指す。

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世界大百科事典 第2版の解説

ふんすい【噴水 fountain】

鑑賞用に水を吹き上げさせる仕掛。一般にさまざまな彫刻や立体的構成を伴って造り出される。自然の湧水に対する信仰から,それを模倣するかたちで案出されたのが最初と思われ,中近東の古代遺物に見る噴水の装置をそなえた神像は,その一例であろう。乾燥した大気の中の水が与える涼感,動きと音,光のきらめきの多彩な効果によって,噴水は古代から人々の愛好するところとなり,そのための水力学上の技術が開発された。前1世紀ころに活躍したアレクサンドリアのヘロンは,サイフォンの原理を応用した〈ヘロンの噴泉〉の考案者として知られている。

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大辞林 第三版の解説

ふんすい【噴水】

庭園や公園などの池の中に設けた、水が噴き出るようにした装置。また、噴き出る水。ふきあげ。 [季] 夏。 《 たく〱と-の折れ畳むかな /青木月斗 》

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

噴水
ふんすい
fountain英語
fontaineフランス語
fontanaイタリア語
Brunnenドイツ語

池や泉水に水を噴出させる装置。「噴泉」ともいう。欧米語では「泉」の意をも兼ねるように、古くから庭園、公園、都市の広場などに設けられ、市民のオアシスとして親しまれてきた。
 泉や噴水を庭園や広場のデザインの構成要素とすることは早くから行われており、古代メソポタミアやアッシリアの遺跡からは、噴水を設ける水盤や、階段上の噴水跡が発見されている。古代ギリシアでは泉そのものを神聖視していたので、そこに水盤を設けて噴水をつくり、その周囲に神殿や公共建造物を建てた。泉は神々やニンフ、英雄に捧(ささ)げられたが、同時に市民への水の供給という実用面も兼ねていた。西欧の造園事業が種々の建築と組み合わされて高度化するのはローマ帝国時代であるが、この時代になると、公共の噴水に加えて浴場や貴族の邸宅の中庭などにも噴水が設けられるようになり、建築装飾の要素も多くなる。ベスビオ大噴火の灰礫(かいれき)の下から発掘されたヘラクラネウムとポンペイからは、当時の遺構がいくつか発見されている。
 中世には一時、装飾的な噴水は影を潜めるが、主としてイベリア半島に残るイスラム系の宮殿では、ビザンティン文明に特有の、王侯貴族の日常生活の現世的悦楽を豊かに表現した庭園がつくられた。グラナダのアルハンブラ宮殿のライオンのパティオ(小内庭)の水盤や、噴水をモチーフにしたヘネラリーフェ離宮のアセキアのパティオが知られる。
 ルネサンスを迎えたイタリアでは、広場のデザインの一つとして噴水に大きな比重がかけられるようになる。レオナルド・ダ・ビンチも噴水の設計図を残しているが、このころから彫刻が噴水の構成要素として前面に押し出され、噴水そのものも装飾的になっていった。この傾向は次のバロック期に入るとさらに複雑化して、芸術的にも優れたものが数多くつくられた。「ローマの泉」あるいは「ローマの噴水」とよばれて今日残るものの多くは、ほとんどがこのバロック期のもので、とくに17世紀中期から後期に活躍したベルニーニ制作のものが名高い(ナボナ広場の四つの川の噴水とムーア人の噴水、バルベリーニ広場のトリトンの噴水など)。有名なトレビの噴水はニコラ・サルビの設計、ブラッチの彫刻により1762年に完成している。この時代には個人の邸宅にも噴水が設けられたが、そのなかではローマ郊外チボリにあるビラ・デステのものが名高い。ここでは山の斜面を利用して水をふんだんに用い、卵形の噴水、オルガンの噴水、百の噴水などが設けられている。
 フランスでは庭園の噴水が発展したが、なかでもルイ14世の命で名造園家ル・ノートルが設計したベルサイユ宮殿の噴水群(ネプチューンの噴水、竜の池の噴水、アポロンの噴水など)が有名である。ベルサイユの造園は宮廷庭園の規範となって全ヨーロッパに広まり、これに倣った庭園や噴水を数多く生み出した。また、装飾的なバロック噴水の形態は都市デザインの要素の一つとして引き継がれ、パリの数次にわたる都市改造に際しても、そのつど公共広場に噴水が設置された。
 古代から近世にかけての噴水は水の落差を利用したものであったが、19世紀以降は、ポンプや自動操作機を使用したものがつくられるようになり、水そのものの姿を変化させることが行われるようになった。博覧会のたびに大掛りで照明などにも技巧を凝らした噴水がつくられて話題をよび、その傾向は今日まで続いている。
 日本の庭園では自然を生かすことが主体となっていたので、人工的な噴水は発達していない。金沢の兼六園に設置されたものはまれな例といえよう。明治以降の洋風建築の導入、西洋式公園の設置に伴って各地に新奇なものとして設置されたが、都市のデザインとして定着したとはいえなかった。上野公園、日比谷(ひびや)公園、中之島公園の噴水などは、公共の憩いの場として市民生活に欠かせないものになっている。本格的な大規模な噴水がつくられるのは第二次世界大戦以降のことで、遊園地をはじめ、ホテル、公共建造物、オフィスビルの入口など、さまざまのところにもつくられるようになり、壁面から水平に水を噴出させる壁泉や、大掛りな人工滝とともに、現代庭園の重要な要素になっている。[重森完途]

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