化学辞典 第2版 「ピリリウム塩」の解説
ピリリウム塩
ピリリウムエン
pyrylium salt
pyranylium compound.ピランからH原子1個が除かれ,O原子がオキソニウム構造をとったカチオンをピリリウムカチオン,その塩をピリリウム塩という.ピリリウム環は芳香族性をもつが,反応性に富むため不安定であり,ヨウ素,過塩素酸,四塩化鉄(Ⅲ)アニオンとの塩は安定である.γ-ピロンとグリニャール試薬との反応で得られるが,大部分の誘導体は芳香族1,5-ジケトンの酸化的閉環反応で合成される.これらは着色しており,蛍光を示す.ピリリウム塩は色素として天然に存在する.ピリリウム塩をアルカリまたは酢酸ナトリウムで処理するとピリリウム塩基を生じるが,ただちに異性化して,2-ヒドロキシピラン誘導体になる.アンモニアと反応させると,相当するピリジン誘導体が得られる.[CAS 289-67-8:カチオン]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報