塩素酸(読み)えんそさん(英語表記)chloric acid

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

塩素酸
えんそさん
chloric acid

化学式 HClO3 。塩素酸バリウムに硫酸を作用させて製造する。単離されず,水溶液としてのみ知られている。 40%溶液は HClO3・7H2O に相当し,比重 1.28。この溶液を加熱,蒸発させると塩素,酸素を発生し,過塩素酸となるので濃縮できない。濃い溶液は無色油状で,有機物に触れると爆発する。酸化剤アクリロニトリル重合触媒として利用される。皮膚,粘膜を著しくおかす。

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世界大百科事典 第2版の解説

えんそさん【塩素酸 chloric acid】

化学式HClO3。水溶液としてのみ存在する強酸で,不純物を含んでいたり光が当たると分解するが,純粋の状態では無色の安定な溶液で,減圧濃縮することができる。40%以上の濃厚な溶液になると分解して塩素と酸素を生じ塩酸となる。塩素酸バリウムBa(ClO3)2に硫酸を作用させて硫酸バリウムを沈殿させるか,塩素酸カリウムKClO3硫酸アルミニウムの混合溶液に硫酸を加えてミョウバンを結晶として除けば,水溶液中に塩素酸が残る。

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大辞林 第三版の解説

えんそさん【塩素酸】

水溶液としてだけ存在する無色の強い一価の酸。化学式 HClO3 強い酸化作用をもち、濃いものは有機物と爆発的に化合する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

塩素酸
えんそさん
chloric acid

塩素のオキソ酸の一つで、強い一塩基酸。水溶液中にだけ存在する。化学式HClO3、式量84.46。塩素酸バリウムの水溶液に硫酸を加え、硫酸バリウムの沈殿を除いてつくる。減圧濃縮すると約40%の濃溶液が得られる。濃溶液は硝酸のような刺激臭をもっている。40%以上の濃溶液は、分解して塩素と酸素を発生する。塩酸との混合物は王水に似ている。金属とその酸化物、水酸化物、炭酸塩の多くは、溶けて塩素酸塩となる。硫黄(いおう)、臭素、ヨウ素はそれぞれ硫酸、臭素酸、ヨウ素酸に酸化される。オゾンや過酸化水素に酸化されて、過塩素酸HClO4となる。きわめて強い酸化剤で、濃溶液は有機物に触れると爆発するので、取扱いに注意を要する。[守永健一・中原勝儼]

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精選版 日本国語大辞典の解説

えんそ‐さん【塩素酸】

〘名〙 強い一塩基酸。化学式 HClO3 水溶液としてのみ存在。塩素酸バリウムに硫酸を作用させて得られる。四〇パーセント以上の濃溶液は塩素と酸素に分解。酸化作用が強く有機化合物とは爆発的に反応する。

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化学辞典 第2版の解説

塩素酸
エンソサン
chloric acid

HClO3(84.46).塩素酸バリウムに硫酸を作用させてつくる.水溶液としてのみ知られ,光を当てなければ安定である.水溶液は無色で,40% 以上の濃厚水溶液は分解して塩素と酸素を生じる.強酸で希薄水溶液ではほとんど完全に電離しており,安定で沸点まで熱しても分解しない.強力な酸化剤である.多くの金属は水素を発生して溶解し,塩素酸塩を生じる.硫黄,セレンなどは酸化されて,それぞれ硫酸,セレン酸になる.有機物とは爆発的に反応する.オゾン,過酸化水素により酸化されて過塩素酸となる.化学試薬,塩素酸塩の製造,酸化剤などに用いられる.

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