ファビウスピクトル(その他表記)Quintus Fabius Pictor

改訂新版 世界大百科事典 「ファビウスピクトル」の意味・わかりやすい解説

ファビウス・ピクトル
Quintus Fabius Pictor

前3世紀から前2世紀にかけて活躍したローマ最初の歴史家。生没年不詳。元老院身分の出身で,第2次ポエニ戦争(前218-前201)に参戦し,ローマが大敗を喫したカンネー(カンナエ)の戦の後には,アポロン神託を求める使節としてデルフォイ神殿に派遣された。彼がギリシア語散文で著したローマの歴史は,断片が伝わるのみであるが,伝説的な英雄アエネアスの記述に始まり,第1次ポエニ戦争(前264-前241)を経て彼の時代にまで及ぶものである。前1世紀の歴史家ポリュビオスは,彼の親ローマ的偏向を非難しながらも,ポエニ戦争の記述に際しては多くを彼の書にもとづいて記している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のファビウスピクトルの言及

【ローマ美術】より

…ただし,建築モティーフはさらに幻想的性格を強くし,カタコンベの壁画に近い様式に至ったことは推定できる。画家の名は,前300年ころのファビウス・ピクトルFabius Pictorやネロのドムス・アウレア(64ころ)を装飾したファブルスFabullusらしか伝わっていない。後者の壁画は16世紀初頭ラファエロに影響を与え,グロテスク形式の装飾壁画を生むことになる。…

※「ファビウスピクトル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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