改訂新版 世界大百科事典 「ファルチャンカンリ山」の意味・わかりやすい解説
ファルチャン・カンリ[山]
Phalchan Kangri
カラコルム山脈の中央部バルトロ・ムスターグに属する高峰。バルトロ氷河2源流の合流点コンコルディアの北東側にそびえ,頂上は約50km下流から望見できる。1892年バルトロ氷河を探検したイギリス人コンウェーが幅が広く堂々たる姿を見て〈ブロード・ピークBroad Peak(広い峰)〉と命名し,現在はバルーチ語で同じ意味をもつファルチャン・カンリと呼ばれている。主峰8047mと北にある中央峰8016mを結ぶ稜線は東側のシャクスガム川渓谷との分水嶺であり,パキスタンと中国の国境線ともなっている。K2登頂を目ざす登山隊が1902年以来いくどかこの山の西麓を通ったが,57年6月9日オーストリアの登山家4人が西稜から主峰に初登頂した。75年7月28日ポーランド登山隊は中央峰に初登頂したが,下山の途中3人が滑落事故で死亡した。
執筆者:酒井 敏明
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