日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブロード」の意味・わかりやすい解説
ブロード(Charlie Dunbar Broad)
ぶろーど
Charlie Dunbar Broad
(1887―1971)
イギリスの認識論的哲学者、科学哲学者、哲学史家。ケンブリッジ大学教授。科学理論と形而上(けいじじょう)学的理論とを区別し、両者の相異は経験的概念と非経験的・先験的概念との相異に源泉があると考え、両者の概念形成を論究することによって、世界の根本概念を規定するような普遍的原理を明らかにしようとする。実在論的な立場から、知覚は空間的・持続的存在である実体と経験の直接対象である感覚与件sensaとの2要素から構成されるとして、知覚の因果説を支持する。心霊現象の哲学的研究を奨励し、神経組織の死後も心的要素が存続しうることを認め、内省による心身の相互関係の観察が可能であると説いた。
[宮下治子 2015年7月21日]
ブロード(織物)
ぶろーど
broadcloth
もとは織幅27インチ(約68.6センチメートル)以上の幅の広いもので、広幅織機で織った織物をさしていたが、現在では、横畝(よこうね)のある平織で、地合いを密にして織り上げ、柔軟な仕上げをしたポプリンをブロードとよんでいる。多くはコーマ双糸を経緯(たてよこ)糸に用いたもので、シルケット加工を施し、落ち着いた光沢のあるものが多い。一般に木綿生地(きじ)からなるが、ときには人絹織物もあり、最近では化合繊で同様な風合いに仕上げたものも増加している。
また上質の梳毛(そもう)糸または紡毛糸を使い、平織とし、表面の毛羽を均一に短くそろえ、光沢に富んだ手ざわりのよい毛織物をさすときもある。これは仕上げ工程で非常に収縮するため、織幅を広くしなければならないのでブロードの名称がある。
[角山幸洋]