改訂新版 世界大百科事典 「フウライカジキ」の意味・わかりやすい解説
フウライカジキ
Tetrapturus angustirostris
スズキ目マカジキ科の海産魚。サンマに似ているのでサンマカジキともいう。また,スギヤマともいわれる。英名はshort bill spearfish(くちばしの短い〈やす〉のような魚)で,くちばしが他のカジキより短いことに由来する。フウライカジキ属は全世界で5種分布するが,日本近海にはフウライカジキとマカジキがいる。フウライカジキは相模湾以西の各地から台湾にかけて分布する。カジキ類中もっとも小型で全長2m,体重50kgほどにしかならない。くちばしが短く,第1背びれの前部,中部,後部であまり高さが違わないのが特徴。外洋の表層近くを泳ぎ,沿岸域にはあまり来遊しない。台湾近海では10~12月ころが産卵期。おもにマグロはえなわで漁獲される。肉質は青白く,かつやわらかで味も薄いため,刺身としてはほとんど用いられず,おもに切身にされて惣菜用に供されたり,練製品の材料として利用される。
→カジキ
執筆者:谷内 透
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報