日本大百科全書(ニッポニカ) 「フウライボラ」の意味・わかりやすい解説
フウライボラ
ふうらいぼら / 風来鰡
風来鯔
fringelip mullet
[学] Crenimugil crenilabis
硬骨魚綱ボラ目ボラ科に属する海水魚。千葉県から南西諸島の各地、紅海、マダガスカル、ハワイなど太平洋、インド洋に広く分布する。上唇は暗色で肥厚し、その下縁に白く見える乳頭状の小さい突起が多数あること、下唇の前縁はひだ状であること、胸びれの基底上端に暗色斑(はん)点があることなどでほかのボラ類と容易に区別できる。小型のボラで、体長は38センチメートルほどにしかならない。沿岸の浅所、サンゴ礁域やタイドプール(潮だまり)、ラグーンの砂泥域、内湾の浅所などに生息するが、ときには港にも入る。雑食性で、おもに海底のデトリタス(生物の破片、死骸(がい)、排泄(はいせつ)物などの粒状物およびそれらの分解物)、藻類、小型甲殻類などを食べる。日本では数は少ない。ポリネシアでは重要な食用魚。マグロ釣りの餌(えさ)に使用するところもある。
[尼岡邦夫]