日本大百科全書(ニッポニカ) 「フェッラーラ派」の意味・わかりやすい解説
フェッラーラ派
ふぇっらーらは
Scuola Ferrarese
北イタリアの都市フェッラーラに、おもに15世紀後半に栄えた画派。中世のフェッラーラは独自の美術を生み出すことはなかったが、ルネサンス時代になるとエステ家の支配下にピサネッロやピエロ・デッラ・フランチェスカらの優れた画家が集まり、彼らに刺激を受けた世代に個性的な画家が輩出した。その代表はコスメ・トゥーラ、フランチェスコ・デル・コッサ、そしてエルコーレ・ロベルティの3人である。彼らの絵画は、ときにピサネッロのような細密描写をみせ、ときにピエロ・デッラ・フランチェスカのようなモニュメンタルな形態に傾き、ときにマンテーニャのように金属的に事物を描くといったように、他の巨匠たちの影響をはっきりと残しながらも、まことにユニークで、イタリア・ルネサンス絵画史上に異彩を放っている。この3人の画家ののち、ロレンツォ・コスタやルドビーコ・マッツォリーノなどが出たが、フェッラーラの独自性は失われていった。
[石鍋真澄]