ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フォン・トリアー」の意味・わかりやすい解説
フォン・トリアー
von Trier,Lars
デンマークの映画監督。本名 Lars Trier。1983年にデンマーク国立映画学校を卒業。在学中,挑発的な意味をこめ,本名の姓に伝統的に貴族階級であることを示すフォンをつけて名のるようになった。初監督映画『エレメント・オブ・クライム』Forbrydelsens element(1984)に加えて『エピデミック~伝染病』Epidemic(1987),『ヨーロッパ』Europa(1991)からなるヨーロッパ 3部作を発表。1994年デンマークの連続テレビドラマ『キングダム』Rigetを製作。1995年にデンマークの映画監督トマス・ビンターベアとともに純粋主義の映画運動「ドグマ95」宣言を執筆。賛同する映画監督らは「純潔の誓い」をして,作品の設定にそぐわない小道具や効果の使用を禁じる旨の条項を遵守させられた。『奇跡の海』Breaking the Waves(1996)はスコットランドの敬虔(けいけん)な女性が蛮行にあう残酷な物語で,ドグマ95の精神が大いに反映された作品。2000年,アイスランドの歌手ビョークが目の不自由な工場職員に扮して空想のミュージカルの世界にひたる『ダンサー・イン・ザ・ダーク』Dancer in the Darkを発表,カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを獲得した。ほかの作品に『ドッグヴィル』Dogville(2003),『マンダレイ』Manderlay(2005),『アンチクライスト』Antichrist(2009),『メランコリア』Melancholia(2011)などがある。
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