化学辞典 第2版 「フッ化クロム」の解説
フッ化クロム
フッカクロム
chromium fluoride
【Ⅰ】フッ化クロム(Ⅱ):CrF2(89.99).二フッ化クロムともいう.赤熱したクロムとフッ化水素,塩化クロム(Ⅱ)とフッ化水素などの反応で得られる.緑色の結晶粉末.密度4.11 g cm-3.融点1100 ℃.水,エタノールに難溶.炭化水素のアルキル化反応,クラッキング触媒に用いられる.[CAS 10049-10-2]【Ⅱ】フッ化クロム(Ⅲ):CrF3(108.99).三フッ化クロムともいう.CrCl3とフッ化水素の反応で無水物が得られる.緑色の針状結晶.密度3.78 g cm-3.融点1100 ℃.無水物は水,エタノールに不溶,フッ化水素酸に可溶.クロム(Ⅲ)塩水溶液にフッ化アルカリを加えると水和物が得られる.水和物には三,3.5,四,六,九水和物があり,普通に市販されているのは3.5水和物である.有機合成のフッ素化剤およびその触媒,染色工業,絹や羊毛の摩耗・退色防止剤,金属表面の改質,研磨剤,金属の洗浄などに用いられる.[CAS 7788-97-8:CrF3][CAS 16671-27-5:CrF3・3H2O]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報