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染色工業 せんしょくこうぎょう

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世界大百科事典 第2版の解説

せんしょくこうぎょう【染色工業】

糸,布,ニットなど繊維製品のうち衣料向けのものの多くは,無地のままではなく,染料・顔料およびその他の着色剤によって,色や柄や模様が加えられる。染色工業とは,このような作業を工業的に行うものをいう。染色工業の規模をみると1995年において,製造品出荷額は1兆1524億円,事業所数は約6500,従業者数は約8万4000人となっている。また従業者数100人以上の事業所は約2%であり,中小企業圧倒的に多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

染色工業
せんしょくこうぎょう

紡績・製織・製編された繊維製品に、染料・顔料およびその他の着色料によって、色・柄(がら)・模様を付加するもので、仕上げ工程を同一機械で多く行うので染色仕上げ(ないしは染色加工)工業とよぶことが多い。[加藤幸三郎]

歴史的展開


世界
染色工業は織物業の歴史とともに古く、天然染料を利用する手工業的ないしは工芸的な染色技術が各国で展開をみせ、ヨーロッパでは古く13世紀ごろからイタリアのベネチア、フィレンツェおよびハンザ諸都市の毛織物業の展開と並んで、各地で隆盛を示し始めた。アラビアや新大陸から多色の天然染料が輸入される16~17世紀に入ると染料の数は増えるが、鉱物質の染料をも加えて複雑な色彩表現が可能となるのは18世紀に入ってからであった。染色工業に最初に作業機が導入されるのはかなり遅れ、1785年力織機(りきしょっき)の発明と並んで初めてローラー捺染(なっせん)機が発明され、手労働から解放された。いわば産業革命の進展のなかで、織物業の展開と並んで染色工業も展開をみせていったのだが、染色工業が本格的に機械化されるのは、化学合成によってアニリンなどの各種の合成染料が得られるようになってからのことといわれている。[加藤幸三郎]
日本
日本における染色加工は飛鳥(あすか)・奈良時代から行われていたが、これがかなりの規模で工業的に行われるようになったのは明治20年代に入ってからであり、当時は絹織物や綿織物の染色が中心であった。綿糸紡績業や織物業が明治中期以降発展を遂げ、繊維製品の種類も綿製品、絹製品にとどまらず、麻製品、毛製品にまで多様化し、その生産量も急速に増加したので、染色工業もこの動きにつれて大正期から昭和初期にかけて大きな発展を遂げてゆく。とくに第一次世界大戦期には輸入染料が途絶したこともあり、各種の合成染料が製造しうるようになったこともその発展を助長した原因といえよう。第二次大戦中は繊維産業と同じく企業整備の対象となって設備の大幅な縮小を余儀なくされ、終戦時には戦前設備の約30%が残されていたにすぎなかった。
 敗戦後になると、貧困な国民生活の向上・打開という要請から、繊維製品が日本経済復興の先兵として政策的にも重視された。さらに1950年(昭和25)の朝鮮戦争勃発(ぼっぱつ)に伴う繊維需要の急増によって、繊維産業の回復と発展がみられたので、染色工業も一挙にその退勢を挽回(ばんかい)したといわれている。[加藤幸三郎]

戦後染色工業の特質

戦後の染色工業の特色は、染料の品質向上や品種の多様化だけではなく、染色技術の向上や新しい仕上げ加工技術の確立によって、繊維産業の関連工業としていっそう重要性を増しつつあるという点に求められる。
 さらに最近の染色工業は、シルケット加工、サンホライズ加工、コーティング加工、プリーツ加工など新技術を導入して、その加工業の範囲を拡大しつつある。しかし、現実の日本の染色工業は中小企業を中心に構成されており、染色加工専業では資本金1億円を超える経営はきわめて少ない。さらに最終消費商品としての繊維製品は、多品種少量加工を必要とする高級品・特殊品から少品種大量加工を必要とする一般品に至るまで、多様性が前提とされる。そのうえ季節や流行によって加工法や色彩の変化にもつねにこたえる性質が要求されるのが通常である。したがって染色工業はつねに多種類の設備をもち、その設備の効率を高めるには加工賃切下げによる受注競争に狂奔せざるをえない。合成繊維の需要増大が見込まれている現在、染色工業は染料工業などとの関連を密接に保持しつつ、合成繊維用の安価な染料や染色法を開発することが緊急事である。と同時に、日本国民全体の「中流意識」化とも絡んで、繊維製品の消費における高級高度化、ブランド指向の傾向は強まっている。染色工業の将来はきわめて競争の激しいことが予想されるのである。[加藤幸三郎]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
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