日本大百科全書(ニッポニカ) 「フューズリ」の意味・わかりやすい解説
フューズリ
ふゅーずり
Henry Fuseli
(1741―1825)
スイス生まれのイギリスの画家。スイス名Johann Heinrich Füßli。チューリヒに生まれ、ロンドンに没。初め神学を学んだが、ベルリン滞在中イギリス大使に画才を認められ、1764年ロンドンに渡る。68年レノルズの勧めで本格的に絵画に取り組むことになり、70年から8年間をイタリアに学ぶ。その間、ミケランジェロの作品から決定的な影響を受け、ウィンケルマンなどの知遇を得た。またシェークスピアを主題に数多くの素描を制作し、帰国後『夢魔』(1781)や『3人の魔女』(1783ころ)のような幻想味あふれるグロテスクな作品を描く。90年ロイヤル・アカデミー会員に選出され、99年には同絵画教授に就任。また同年、ジョン・ボイデルのシェークスピア・ギャラリーに倣って、自作47点をもってミルトン・ギャラリーを開設したが、世評はあまり芳しくなかった。彼はダンテ、シェークスピア、ミルトンの文学作品などから好んで主題を選んだが、それを彫塑的な人体からなる動的な構図のうちに描き出した。
[谷田博幸]
『N・パウエル著、辻井忠男訳『アート・イン・コンテクスト4 フューゼリ/夢魔』(1979・みすず書房)』